(※画像はイメージです/PIXTA)

地震保険の保険料がこの2022年10月から改定されました。これまで保険料は相次いで引上げられてきましたが、今回の改定では全国平均で0.7%の引き下げとなりました。地震保険はコストパフォーマンスがきわめて高い保険で、それが周知されてきたこともあり、付帯率もここ数年顕著に上昇し70%近くまでになっています。しかし、データをよくみると、マンションについては、危険な実態が浮かび上がります。

このままだと危険!地震保険付帯率が示すマンションのリスク

このように、地震保険はきわめて有用でコストパフォーマンスに優れたものです。

 

とりわけ、マンションについては、多くの世帯が入居する建物であるため、建物が被災した場合に建物の修繕・再建の費用を賄う方法として、地震保険の有用性・重要性はきわめて高いといえます。

 

しかし、実際の付帯状況のデータをみると、危険な実態が浮かび上がります。

 

マンションの地震保険の付帯状況

どういうことか、問題は、マンションという建物の特殊性にあります。

 

マンションには「専有部分」(各居室)と「共用部分」(エントランス、ロビー、廊下、階段、エレベーター等)があります。

 

専有部分は各居室の所有者が個別に火災保険・地震保険に加入すれば足りますが、共用部分については管理組合の所有にかかるので、専有部分とは別に管理組合名義で火災保険・地震保険に加入する必要があるのです。

 

ところが、2020年時点での地震保険の付帯率が全国平均で約68%であるのに対し(損害保険協会「火災保険・地震保険の概況」P.48参照)、共用部分については約46%にとどまっています(損害保険協会「地震保険のチラシ【マンション共用部分編】」参照」)。

 

専有部分については、現状では専有部分のみに着目した有効なデータはありませんが、全国平均に準じるものと考えられます。したがって、共用部分の地震保険付帯率は専用部分に比べてまだまだ低いとみられます。

 

マンションの地震保険は共用部分こそ肝要

これは大変危険なことです。なぜなら、共用部分はマンションの基礎、柱、壁、屋根等、マンションの根幹となる部分を多く含むからです。

 

先述した通り、地震保険においては、建物が損壊した場合に「全損」「大半損」「小半損」「一部損」を判断する対象が、基礎、柱、壁、屋根等の基本的な構造部分に限られます。したがって、専有部分に火災保険がかかっているだけだと、不十分です。

 

建物に限っていえば、地震保険は、専有部分よりも圧倒的に共用部分のほうが大事なのです。

 

また、もしもマンションの基本的な構造部分が地震等の被害に遭ったら、修繕積立金では賄いきれないリスクがあります。

 

現に、国土交通省「平成30年(2018年)度マンション総合調査」の結果によれば、修繕積立金が計画よりも不足している管理組合が34.8%もあります(同調査報告書P.9参照)。

 

しかも、そもそも長期修繕計画は地震被害を想定して立てられるものではありませんし、昨今のような資材高騰のリスクの可能性をも加味すると、修繕積立金が不足するケースはさらに多くなるものと想定されます。

 

したがって、マンションで共用部分について地震保険に加入していないのは、それ自体、きわめて大きなリスクを負っているということです。

 

日本列島は地震の巣であり、大地震はいつどこで起きてもおかしくありません。未加入の場合は、今すぐ加入することをおすすめします。

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録