(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●世界的に株安の流れが続くなか、日本株の業種別パフォーマンスについて格差の有無を検証する。

●水際対策の緩和で空運や陸運、長期金利上昇で保険や銀行など非製造業の好調さが目立つ。

●国内外の経済環境を踏まえると日本株は当面非製造業、ディフェンシブの観点で考えてもよかろう。

世界的に株安の流れが続くなか、日本株の業種別パフォーマンスについて格差の有無を検証する

足元では、世界的に株安の流れが続いています。先週はダウ工業株30種平均とストックス600(欧州主要600社で構成される株価指数)が年初来安値を更新し、昨日はS&P500種株価指数が年初来安値を更新、ナスダック総合指数も年初来安値に接近しました。一方、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は、昨日大きく下落したものの、年初来安値まで、まだ値幅があります(それぞれ約1,714円、約105ポイント)。

 

ただ、日経平均株価は昨年末から昨日まで8.2%下落しており、TOPIXも同期間6.4%下落するなど、不安定な動きが続いています。そこで今回のレポートでは、この先、日本株投資を考える上での1つの材料として、業種別の動きに注目し、パフォーマンス格差の有無を検証します。なお、業種別のパフォーマンスの測定には、東証業種別株価指数(33業種)を使用します。

水際対策の緩和で空運や陸運、長期金利上昇で保険や銀行など非製造業の好調さが目立つ

2021年12月30日から2022年9月26日までの期間における東証業種別株価指数の騰落率は図表1の通りです。これをみると、33業種のうち20業種が上昇し、13業種が下落していることが分かります。また、上昇した20業種の内訳は、非製造業が12業種、金融が2業種、製造業が6業種となっており、とりわけ非製造業の良好なパフォーマンスが目立ちます。

 

 (注)データは2021年12月30日から2022年9月26日。騰落率の単位は%。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]東証業種別株価指数の騰落率 (注)データは2021年12月30日から2022年9月26日。騰落率の単位は%。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

個別にみていくと、鉱業、石油・石炭製品、電気・ガスは、資源高が追い風になったと思われますが、すでにWTI原油先物価格は低下傾向にあり、今後はこの点にも注意が必要です。空運業や陸運業は、政府による新型コロナウイルスの水際対策の緩和などが好感されていると推測され、保険業、銀行業は、国内の長期金利にも上昇圧力が強まっていることで、運用利回り改善や預貸利ざや拡大の思惑につながったと考えられます。

国内外の経済環境を踏まえると日本株は当面非製造業、ディフェンシブの観点で考えてもよかろう

また、医薬品や小売業、食料品などは、業績が景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄であり、今局面で選好されているとみられます。一方で、下落した13業種の内訳は、製造業が10業種、金融が2業種、非製造業が1業種となっており、ほぼ製造業が占めています。やはり、世界的にインフレの問題が深刻化し、多くの国や地域で金融引き締めが行われているなかでは、景気に敏感な製造業の株価は苦戦を強いられています。

 

日本でも、物価は上昇傾向にありますが(図表2)、日銀の黒田総裁は、経済を支えて賃金の上昇を伴う形で物価安定目標を実現することが必要として、異次元緩和を継続しています。また、前述の通り、日本では海外に遅れて水際対策が緩和されつつあり、国内経済にプラスと期待される要素も散見されます。そのため、日本株については当面、非製造業、ディフェンシブといった観点から考えるのもよいと思われます。

 

(注)データは2021年1月から2022年8月。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日本の消費者物価指数の推移 (注)データは2021年1月から2022年8月。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『業種別でみた日本株の動きについて【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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