米CPIショックで株価急落…今後の金融市場をどうみるか?【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●米CPIの伸びが市場予想を上回り、米国株は急落、米国債利回りは上昇、米ドルはほぼ全面高。

●金融市場はしばらく不安定な動きに、米主要3指数は先日指摘した水準が引き続き下値の目途。

●日経平均は9月末の水準に注目、ドルの底堅さは継続か、次の大きな動きは来週のFOMC待ち。

米CPIの伸びが市場予想を上回り、米国株は急落、米国債利回りは上昇、米ドルはほぼ全面高

9月13日発表の8月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、米主要株価指数は急落しました。前日からの下落率は、ダウ工業株30種平均が3.9%、S&P500種株価指数は4.3%、ナスダック総合株価指数は5.2%でした。なお、CPIは総合指数が前年比+8.3%、前月比+0.1%(市場予想は順に+8.1%、-0.1%)、エネルギーと食品を除くコア指数は前年比+6.3%、前月比+0.6%(同+6.1%、+0.3%)でした(図表1)。

 

(注)データは2021年1月から2022年8月。コア指数はエネルギーと食品を除く指数。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]米消費者物価指数の推移 (注)データは2021年1月から2022年8月。コア指数はエネルギーと食品を除く指数。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、9月に75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが行われる確率が67%、100bpが33%となり、一段の大幅利上げの織り込みが進みました(図表2)。

 

(注)データは2022年8月1日から9月13日。 (出所)CMEのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]FF金利先物市場が織り込む9月利上げ確率 (注)データは2022年8月1日から9月13日。
(出所)CMEのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

また、米国債利回りの前日比の上昇幅は、10年債が約5bp、2年債は約18bpとなり、為替は米ドルがほぼ全面高のなか、ドル円は前日から約1円74銭ドル高・円安が進行しました(いずれもニューヨーク市場終了時点での比較)。

金融市場はしばらく不安定な動きに、米主要3指数は先日指摘した水準が引き続き下値の目途

8月CPIのうち、伸びが比較的堅調だったのは、財では生活用品や自動車(新車)など、サービスでは家賃(賃貸および帰属)などでした。物価の伸びはピークに近いとみられますが、正常化にかなりの時間を要することが、改めて確認された格好になりました。金融市場はこの先、9月20日、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における、利上げペースに関する新たな材料を待ちつつ、しばらく不安定な動きが続くと予想されます。

 

米国株の下値目途については、9月6日付けレポートで解説した水準を、引き続き目安と考えています。具体的には、ダウ平均が30,745ドル近辺、S&P500は3,799ポイント近辺、ナスダックは11,182ポイント近辺です。ダウ平均はこの目安に近付きつつありますが、S&P500とナスダックは、まだいくらか余裕があります。仮に3指数とも、この水準を下抜けた場合、年初来安値更新のリスクが高まります。

日経平均は9月末の水準に注目、ドルの底堅さは継続か、次の大きな動きは来週のFOMC待ち

日経平均株価は9月12日付けレポートで指摘した通り、長期上昇トレンドを維持しています。過去10年間、株価を支えてきた下値抵抗線は、9月30日時点で25,900円に位置しています。そのため、今月末にこの水準を回復できなかった場合、注意が必要です。ただ、2020年のコロナ・ショックの際、春先に下値支持線を一時的に割り込んだこともあるため、直ちにトレンド終了と判断するのは難しいと思われます。

 

そしてドル円は、「株安で円高」ではなく、「米金利先高観でドル高」の流れにあります。9月1日付けレポートで説明した通り、ドル円は強いドル買いシグナルが点灯中で、1998年8月11日につけた147円66銭水準まで、節目らしい節目がありません。そのため、米金利動向をにらみつつ、ドルの底堅い動きが見込まれます。以上の流れに何かしらの変化を与えうるのは来週のFOMCであり、次回のレポートではその注目点を整理します。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米CPIショックで株価急落…今後の金融市場をどうみるか?【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

    旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
    現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
    著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
    CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

    著者紹介

    三井住友DSアセットマネジメントは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

    著者紹介

    連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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