(写真はイメージです/PIXTA)

米国を筆頭に世界的なインフレが続く一方、金融緩和政策を維持する日本。こうしたなか、円の価値は24年ぶりの水準まで下落しており、相場の先行きを不安視する投資家も少なくありません。しかし、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は、主に3つの要因から、いまこそ千載一遇の「日本株への投資チャンス」だといいます。それはなぜか、詳しくみていきましょう。※本記事は、武者リサーチが2022年9月5日に公開したレポートを転載したものです。

「低物価国ニッポン」…世界からの需要集中が始まる

この空前の物価格差により、低物価国日本へと世界の需要が大きく集まり始めている。まず輸出競争力が高まり輸出数量が増加し始める。また輸入品を国内製品に代替することが起きる。コロナ禍終息の暁には、お得感を増した日本へ旅行需要が急増するだろう。

 

割安になった日本で商品を調達し海外へと転売する越境EC(Eコマース)が活況を呈している。この日本への需要集中はまだ始まったばかりであり、これが奔流のように力を増していくことは、疑いない。

 

日本はスマホ、PC、半導体などで大きくシェアを失ったが、広範な材料、部品、装置などのブラックボックス化できる部分で高い技術競争力を持っている。

 

また、ダボス会議を主宰するWEFの調査により、日本の観光開発力が世界最高となった。この高品質(非価格競争力)に価格競争力が加わることの大きな力を軽視するべきではない。

 

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[図表4]観光開発力ランキング出所:世界経済フォーラム

 

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[図表5]訪日外客数の見通し資料:日本政府観光局「訪日外客数の動向」

「過去最高利益」と設備投資「20年振りの増加」へ

大幅な円安は、輸出主体の製造業や海外展開をしている企業の為替換算益を増やし、企業収益増加をもたらしている。2022年4~6月法人企業経常利益は、17%増、経常利益率は8.4%といずれも過去最高となった。

 

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[図表6]法人企業経常利益率推移出所:財務省、武者リサーチ

 

また、国内設備投資急増の兆しが表れている。政策投資銀行調査による22年度設備投資計画は26.8%増とバブル崩壊以降最高となった。シリコンウエハー主体の非鉄金属、化学、電機、機械などの円安の恩恵を受けるハイテク産業の伸びが大きい。

 

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[図表7]設備投資増減率の長期推移出所:日本政策投資銀行

 

総額1兆円に達するTSMCの熊本工場建設も動き始めた。今後円安定着がはっきりするにつれて国内への工場回帰が強まり、投資の伸びはさらに高まるに違いない。

 

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