「認知症の母を世話したい」帰郷した息子。家まで建てたが…「認知症がどんどん悪化した」まさかの理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

認知症の進行をできるだけ遅らせるには、どうすればよいのでしょうか。認知症研究の第一人者・浦上克哉氏が監修した『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)より、症状を進ませないために重要な「家族がやるべきこと」を見ていきましょう。

認知症の進行を遅らせるには「思いやり」が大切

家族が認知症と診断されると、誰だって不安になります。「この先、どう接していったらいいのだろう?」と心配になるに違いないでしょう。けれども、認知症は明日突然症状が悪化して、物事が認識できなくなる…という病気ではありません。ごく緩やかに進行していくものですから、家族の対処の仕方によって、病気の進み具合を遅くしていくことが十分に可能なのです。

 

そのために大切なのは、まずは「相手を思いやる」ことです。認知症になったからといって、特別難しいことをしていく必要はありません。なによりも、認知症になって戸惑い、動揺しているのは本人です。そのことをまずはしっかり理解してあげること。そして、不安な思いをふくらませていかないよう気持ちに寄り添い、支えてあげる。それをできるのが、家族などの周りの人たちなのです。

 

認知症の進行をできるだけ遅らせる、つまり認知症の治療は、家族のサポートがなければ成り立ちません。ご本人の複雑な気持ちを理解することから始め、「相手への思いやり」を大事にしながら日々を過ごしていきましょう。

薬の服用は「本人任せ」にせず、家族が管理

■「薬、ここに置いておくから飲んでね」では飲み忘れるのも当然

認知症の治療は、主に薬による薬物療法と、ケアやリハビリテーションによる治療があります。

 

具体的な方法は原因となっている病気によって異なりますが、治療薬については残念ながら、現時点では根本的な治療効果がある薬で承認されているものはなく、あくまでも症状を改善していくための薬にとどまっています。

 

とはいえ、症状の進行を遅らせることは大きな意味がありますから、継続的な薬の服用はとても大事です。ただ問題なのは、ご本人がそれを飲み忘れてしまいがちなことなのです。

 

そこで必要なのが、家族のサポートになってきます。薬を決められた回数と量で飲んでいくための服薬管理を、家族がしっかりと行うことが不可欠。本人が薬を口の中に入れて飲み込むまでの確認を必ず行うなど、徹底した管理を続けていくことが大事です。

 

なかには、「薬をここに置いておくから飲んでね」と机の上に置いたままにしたり、手渡ししてあとは本人に任せてしまう方も少なくないでしょう。ご本人は「はいはい、わかった」と返事はいいので、家族も安心しがち。けれども、多くの場合でそのまま飲み忘れてしまうのです。

 

認知症による物忘れや失敗を「怒る」と、認知症の悪化を招く

認知症のなかでもアルツハイマー型はまさに忘れる病気ですから、それを受け容れた上で接することが必要です。

 

「なんで忘れるの!」「いま言ったばかりでしょう!」などと怒るのは禁物。そんな接し方をしてしまうと病状はどんどん悪くなってしまいます。

 

認知症のせいで失敗をして、家族に怒られてばかりだと当然気分も滅入ってきます。自分のなかで「もう何もできなくなってしまって、ダメな人間になってしまった…」と思ってしまうと、症状がどんどん悪化していく側面がありますから注意してください。

あなたにオススメのセミナー

    日本認知症予防学会 代表理事
    鳥取大学医学部 教授
    日本老年精神医学会理事
    日本老年学会理事
    日本認知症予防学会専門医 

    1983年に鳥取大学医学部医学科を卒業。同大大学院の博士課程を修了し、1989年より同大の脳神経内科にて勤務。2001年4月に同大保健学科生体制御学講座環境保健学分野の教授に就任。2005年より同大の医用検査学分野病態解析学の教授を併任。2022年4月より鳥取大学医学部認知症予防学講座教授に就任。2011年に日本認知症予防学会を設立し、初代理事長に就任し現在に至る。

    著者紹介

    連載認知症研究の第一人者が教える、認知症を予防・克服する新習慣

    本連載は浦上 克哉氏の著書『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)の一部を抜粋し、再編集したものです。

    すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

    すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

    浦上 克哉 監修

    徳間書店

    【認知症研究 第一人者、浦上克哉氏の最新メソッド!】 「ひょっとして認知症?」…あなたや家族が不安になったら読む本。 早期発見チェックリストで今の状態とやるべきことがよくわかる! 自分自身や家族の認知症が…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ