入居者に提供する「ソフト面への配慮」
周囲に気兼ねすることなく、心ゆくまで楽器演奏を楽しむことができる住環境を提供するためには、以上のように細部まで徹底的にこだわった防音機能を備えることが不可欠になるはずです。
さらに、前回お話したように、コンセプト系賃貸住宅においては、建物の設備や性能などハード面の追求だけでなく、「時間=そこでしか得られない特別な体験」をいかに入居者に提供するかというソフト面への配慮も重要になります。
楽器可防音賃貸マンションの運営に即していえば、建物の遮音性能の徹底追求を行うと同時に、入居時および入居中の入居者に対する継続したサービスのオペレーションが必須となるでしょう。
どのようなサービスを具体的に提供するのかは、様々なアイデアがありうるところですが、「サウンドプルーフ」では現在までに、以下のようなサービスを試みてきました。
・入居後すぐに友人を呼んで24時間カラオケが楽しめるよう、入居時に任天堂Wiiとカラ オケソフト、マイクのプレゼントを行う。
・入居中のサービスとして、エントランスに大画面の液晶TVを設置して24 時間音楽放送 を流し、音楽雑誌やリラクゼーション用CDを提供する等のオペレーションを行う。
・ハンディタイプのサウンドレベルメーターを全ての入居者に配り、自分の楽器演奏音の 騒音測定を入居者自身が常に行う。時間帯別の音量上限を居住者全員に遵守させること で、24時間演奏を可能にしつつも夜間の快適な安眠を互いに妨げない仕組みを提供す る。
・吸音性の高い厚手の防音カーテンをサービス品として提供し、防音ルーム内の残響時間 などの音響効果を上げる。
・「サウンドプルーフ蒲田イースト」では自販機や無線LANを導入したカフェコーナー を、「サウンドプルーフ蒲田アネックス」ではベンチや植栽を配した屋上庭園を、「サ ウンドプルーフプロ多摩川」では1階にゆったりとしたソファを設置したラウンジも設 けることで、居住者間の交流を促進する。
以上に加えて、「ツナガル俱楽部」というサウンドプルーフ入居者間の交流と、メンバーの音楽活動をサポートするための入会金・年会費無料の会員制俱楽部も運営しています。
サービスを通じて、入居者との「価値共創」を目指す
2015年1月24日には、『TSUNAGAL 2015 FIRST LIVE』というイベントを実施し、40名を超えるお客様の来場を得ることができました。恥ずかしながら、私もアコースティックギターの演奏でイベントに参加しました。
そのほか、入居者のソロ・バンド活動等のプロカメラマンによる写真撮影や当社ホームページでの宣伝・イベント告知等の協賛も行う予定であり、それらのサービスを通じて入居者との絶えざる価値共創を目指しています。
今後さらに、ツナガル俱楽部のメンバーの意見も取り入れながら、入居者同士がコラボレーションできるイベントなど、より充実したミュージックライフを楽しめるような新たな企画を順次立ち上げていく予定です。