※画像はイメージです/PIXTA

相続税の税務調査において、論点になるもののひとつが「名義財産」であり、線引きが曖昧なだけに判断は難しいとされます。そこで相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士が、過去の裁判例をもとに、どのように判断されるか解説していきます。

裁判例から見える名義財産の判断要素、5つ

上記の通り、実態を正確に捉えることが難しく、特定するための明確なルールもないことから納税者と国税当局との間でこの名義財産を巡る裁判例は枚挙に暇がありません。

 

ただ、そうであるがゆえにこの裁判例が判断における重要な拠り所となるわけですが、そこから見えてくる名義財産の判断要素とはおおむね次の5つです。実際にはこれらを総合的に勘案して判断することになります。

 

①お金を出した(出した可能性がある)のは誰か?

お金の出所が相続人などの名義人であることが明確ならば、そもそも名義財産であるかどうかの疑念は生まれませんので、言うまでもなくこれが最も重要であり判定にあたっての入り口となる要素です。

 

なお、預金の預入時期やその他財産の購入時期、保険の契約時期などが古く誰がお金を出したのかがわからない場合は、「出した可能性があるのは誰か」という間接的なアプローチも想定されます。つまり、その財産の名義人となった日において、名義人がその財産を取得するだけの資力(取得時期までの給与等の経常的な収入状況や相続や保険金等の臨時的な収入の有無などを裏付けとして)があったのかというとも考慮されることになります。

 

ただし、他の要素の確認・検討も踏まえた上で、お金の出所がそれでも判然としない場合には名義人の財産として考えることになります(ケースよっては故人と名義人の収入比で按分することもあります)。「疑わしきは罰せず」ではないですが、確度の低い推測などに基づき相続財産として課税されることはないということです。

 

②管理・手続(作成/運用/処分)を行っていたのは誰か?

管理については、預貯金であれば通帳・印鑑・キャッシュカードなどを誰が保管していたのか、ということであり、手続については、預貯金や証券の口座開設[作成]、定期預金の書換・金融商品の組替(株を売って債券を購入する等)[運用]、預貯金・証券口座の解約[処分]などといった手続きを誰が行っていたのかということです。

 

印鑑等がなければ自由にお金を動かすことができませんし、さらに実際にその財産を動かしていたのが誰なのか(各手続について金融機関の担当者とのやり取りを行っていたのは誰か)は、真の所有者を捉えるためには①の次に重要な要素といえます。

 

ちなみに、税務調査では税務署は必ずと言って良いほど口座開設時の書類を金融機関から入手します。

 

名義財産であることを裏付け、動かぬ証拠として使える格好の資料だからです。たとえばこの書類の内容が下記のような体裁である場合には名義財産としての色合いが濃くなるということになります。

 

・ 筆跡が名義人ではなく故人である

・ 使用されてる印鑑が名義人のものではなく故人と同じものである

・ 結婚により姓が変わっているが登録氏名が旧姓のままである

・ 登録住所と現住所が異なる(結婚その他の理由で転居をしているが、実家である故人と同じ住所のまま)

 

③その財産から生まれる利益を得ていたのは誰か?

預貯金や債券の利子、株式の配当金、投資信託の分配金など、その財産から生まれる利益を誰が得ていたのかという事実は、①②に次いで真の所有者が誰かを推し量る上での重要な要素です。

 

ただ、ある裁判では、「配当金がその名義人の口座に振り込まれ、その配当金について名義人が所得税の申告をしてきたからといって、そのことが直ちにその株式が名義人に帰属することを決定づけるものではない」として名義財産と認定された事例もありますので、あくまで①や②などその他の要素との複合的な検討が必要であることには留意したいところです。

 

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