(※写真はイメージです/PIXTA)

肝臓病は、原因はなんであれ肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していくことがあります。これは、日本人の3人に1人といわれる「脂肪肝」も例外ではありません。肝臓を元気にしておきたければ、お酒はほどほどにしておくことが賢明です。しかし自分が脂肪肝であることを知っていても、どうしてもお酒が飲みたい人はいるでしょう。脂肪肝対策における「お酒との付き合い方」について、みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

どうしてもアルコールが飲みたい!という人は…

■「少量を毎日飲む」より「休肝日を設けながら飲む」

「お酒は適量なら体にいい」という話を聞くこともあって、少量なら飲んでもいいだろう、いや少量でも毎日飲んだらNGでは?と、迷われる方もいらっしゃるでしょう。お酒に関する研究論文はさまざまなものが出ており、どの方法が望ましいのかはいまだ結論が出ていません。

 

ただ一つ言えることとして、量を減らして毎日飲み続けるよりは、休肝日を設けたほうが、肝臓の機能は回復しやすいのは確かです。どうしても飲みたい場合には、休肝日を設け、休肝日には禁酒するか、ノンアルコール飲料を選ぶと良いでしょう。

 

また、お酒の飲み方として「ちゃんぽん」は、酒量がかなり多くなる危険性がありますのでご注意ください。特に女性は体が男性に比べ小さいので、同量のアルコールでもより肝障害を起こしやすいといわれています。

 

■「どうしても飲みたい人」が知っておくべきこと

そもそもNAFLD/NASHで通院中の方や、肝障害が起きている患者にはアルコールはやめてもらうことになります。「ちょっとくらいなら…」という気の緩みが、お酒断ちを難しくしてしまいますから、やはり禁酒が命を守るための最良の選択となります。

 

また、お酒に強い・弱いの違いには、その人の遺伝子が関係しています。お酒に関わる遺伝子型としては、アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の遺伝多型性が知られており、ADH1Bが少なく、ALDH2が多い人は酒量が多くなりやすく酒乱に多いといわれています。一方でALDH2が少ない人はアセトアルデヒドが溜まりやすく、悪酔いするだけでなく、食道がんの発生率が10倍以上高くなり、さらにADH1Bが少ないと29〜56倍に跳ね上がるという調査報告があります(日本消化器病学会「日本消化器病学会雑誌第109巻第9号」〔2012年〕)。

 

そして肥満者の場合には、1日平均純エタノール60gの飲酒に満たなくてもアルコール性肝障害を起こし得るとされ、また女性やアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)欠損者では、1日平均純エタノール40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こし得るとされています。

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

 

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※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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