前回は、不動産ファンド投資の6つのリスクのうち、まずは「マーケットリスク」について説明しました。今回は、引き続き「物件としてのリスク」を見ていきます。

不動産はそもそも「売りたいときに売りにくい」

②物件としてのリスク


物件としてのリスクは、不動産そのものに内在するリスクのことです。まず、第一は「流動性の低さ」、つまりは売りにくいリスク(流動性リスク)があります。

 

誰もが欲しがるような絶対的な好条件の物件は別として、基本的に不動産は売りたいと思ってもすぐには買い手が見つかりません。とりわけ不動産市況が悪化している場合には、不動産の流動性リスクが高まり、最悪の場合には極端な安値で投げ売りせざるをえなくなることもあります。

 

また、不動産を構成する土地と建物それぞれについても固有のリスクがあります。土地については、津波の害を受けやすいエリアや裏に崖があるような立地、接道のよくない場所など立地や周辺環境に何らかの問題があるために、資産価値に関してマイナスの評価を受けるおそれがあるでしょう。

 

しかも、周辺環境に関しては、現時点では問題ないとしても将来的にはどうなるか分からないところもあります。静謐な雰囲気が魅力だった場所が、すぐ近くに高速道路が開通したために騒々しくなり土地の価格が下落するようなこともありえます。

 

さらに、過去にガソリンスタンドやメッキ工場が設けられていたような場合には、地中に有害物質が含まれている可能性があります。そのような土壌汚染がありうることも、土地のリスクの1つです。

建物の瑕疵は建築業者や建築士の「過失」で起こる!?

一方、建物については施工不良などのために物理的な瑕疵が存するリスクが考えられます。建物の瑕疵は過失ばかりではなく、建築業者や建築士等の故意が原因となって生じることも多々あります。

 

たとえば2005年に発覚し、大きな社会問題にもなった「構造計算書偽造事件」では、一級建築士によって構造計算書の偽造が行われた結果、耐震性に問題があるとして多数のマンションが建て替えを余儀なくされました。

 

今後も、同様の事件が繰り返される可能性は十分にあるでしょう(実際、最近も、旭化成建材が杭打ち工事を行ったマンションが傾く事件が起こり、同社によるデータ改竄がその背景にあったことが発覚しました)。そうした故意や過失によって瑕疵が生じた物件を購入する危険が、不動産ファンドの運用には多少なりとも存在するといえます。

本連載は、2016年3月28日刊行の書籍『ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

ローリスクで年利7% 1万円から始める不動産ファンド投資

小山 努

幻冬舎メディアコンサルティング

投資で資産を増やさなければ、将来の見通しが立たない――。 一般のサラリーマンの間でも、企業や社会保障に頼らずに資産をつくるしかないと、「貯蓄から投資へ」向かう傾向が強まっています。 本書では、理想先な投資先とし…

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