不動産ファンド投資には大きく「6つ」のリスクがある
以上のような運用戦略やプロパティータイプに基づく基本的なリスクのほかに、不動産ファンド投資には次のようなリスクが存在します。
①マーケットリスク
②物件としてのリスク
③オペレーター(AM、PM等)のリスク
④自然災害に起因するリスク
⑤税務・会計に起因するリスク
⑥法律に起因するリスク
以下では、この①から⑥のリスクの具体的な中身について順番に確認していきましょう。
不動産市場だけでなく金融市場の動向も影響
①マーケットリスク
マーケットリスクとは、市場における取引の動向によって価格が下落するリスクのことです。上場されていない不動産ファンドは、リートのように1日で価格が激しく変動するようなリスクは免れています。しかし、不動産そのものは市場で取引されていることから、不動産マーケットによるリスクは多かれ少なかれ被ることになります。
日本では、不動産価格はバブル期まで上がり続け、その崩壊後は下がり続けるという直線的な動きを示してきましたが、欧米では、一定のスパンで上がっては下がり、下がっては上がるという価格サイクルを繰り返してきました。いずれにせよ、購入した不動産の価格が下がる可能性は常にあるといえるでしょう。
また、万が一、リーマンショックのような世界的な経済危機が起こったようなときには不動産の売買が停滞することは避けられません。その結果、ファンドの保有物件を想定していたような形では売却できなくなるかもしれません。
このような不動産価格の上下動や需給の動きによって不動産ファンドがマイナスの影響を受けることはありえます。
それから、マーケットリスクとしては金融マーケットの動向にも注意を払っておくことが必要になります。
不動産は高額であるため、その取得のために金融機関からの融資が必要となるケースが少なくありません。金利の高低や、金融機関の融資に対する姿勢によって、借り入れの許否や調達できる金額は変わってきます。現在、日本では貸出金利がかつてないほど低い水準にあり、そのため資金を調達しやすい状況にあります。しかし、今後、金利が上がれば資金を調達しにくくなり、その結果、不動産価格が下がるおそれもあります。
さらに、株式市場の状況も、不動産価格に間接的に影響を及ぼすファクターとなります。株式市場が好調であれば、株式投資によって得た利益を不動産に投資する動きが促され、その結果、不動産の価格が上昇するからです。過去の歴史をみても、株式市場が不調なときに不動産市場が良好であることは少ないので、両者には強い関連性があるとみなすことができるでしょう。