生活習慣病リスクを下げる「地中海食」…脂肪肝の予防・改善に効果的な“食べ方”【医師が解説】

生活習慣病リスクを下げる「地中海食」…脂肪肝の予防・改善に効果的な“食べ方”【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

肝臓病は、原因はなんであれ肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していくことがあります。これは、日本人の3人に1人といわれる「脂肪肝」も例外ではありません。脂肪肝を脱出するには、まずは太らない体を作ることが重要です。無理のないペースで、しかし確実に脂肪を減らしていく方法として、ここでは「地中海食」について見てきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

積極的に摂りたい油脂、減らしたほうがいい油脂

地中海食で摂取するオリーブオイルやナッツ類、青魚などには、不飽和脂肪酸が多く含まれます。

 

普段口にしている油にも、さまざまな分類・種類があり、積極的に摂りたい油脂と摂り過ぎているので減らしたほうがいい油があります。

 

まず油は大きく分けて、常温で個体の飽和脂肪酸と、常温で液体の不飽和脂肪酸に分かれます。飽和脂肪酸は、バターやラード、牛脂や豚脂など、乳製品や動物性脂肪に多く含まれます。ココナッツオイルは植物性ですが、常温で固まる飽和脂肪酸に分類されます。

 

一方で不飽和脂肪酸は植物油に多く含まれる油脂で、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあるといわれています。

 

不飽和脂肪酸は、さらに化学式の違いで多価不飽和脂肪酸のオメガ3とオメガ6、一価不飽和脂肪酸のオメガ9に分かれます。

 

なかでもオメガ3系の油脂は最近注目されている必須脂肪酸で、α-リノレン酸や魚油に多く含まれるEPA/DHAが代表的な油です。α-リノレン酸は、亜麻仁油やエゴマ油に豊富に含まれています。熱に弱いため、加熱せずに摂りたい油です。

 

オメガ6も、食事から摂るべき必須脂肪酸に分類されます。代表的なのはリノール酸。サラダ油やコーン油、ごま油などに多く含まれ、調理油としても多くの食品に使われています。商品の原材料表示に「植物油脂」や「植物油」とあれば、ほとんどがオメガ6系の油です。

 

オメガ9の代表的な成分はオレイン酸で、オリーブオイルやキャノーラ油などに多く含まれます。オメガ9系の油は、酸化しにくく熱に強いので、日常的に取り入れやすい成分です。

 

脂質は3大栄養素の一つで、油脂は体には必要なものです。問題は、現代の食生活では、飽和脂肪酸やオメガ6系が過剰摂取になりがちということです。肥満や動脈硬化などの生活習慣病を増やす原因にもなっています。

 

オメガ3の脂肪肝との関わりでは動脈硬化予防、免疫増強など生活習慣病の予防に有用な働きをもち、かつインスリン感受性を高め、肝臓にたまった中性脂肪量を減少させて脂肪性肝炎を改善することが実験で示されています。

 

多様な油を普段の食生活でどう摂っていくかは、健康を左右する大切なポイントです。

 

現代人は、飽和脂肪酸やオメガ6系は減らす方向にして、多価不飽和脂肪酸を多く含む青魚などオメガ3系の割合を増やしていく摂り方が理想的です。その意味でも、魚類やナッツ類、オリーブオイルをふんだんに使う地中海食は、理にかなっているといえます。魚があまり好きでない方は、亜麻仁油やエゴマ油を取り入れると良いでしょう。

 

ただし、たとえ体にいい油脂でもエネルギー量は変わりませんから、摂り過ぎにはくれぐれも気を付けましょう。

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

 

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※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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