(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「認知症患者のメンタル症状」について解説しています。

「強い“メンタルな症状”を表す人」の特徴

特徴としては、まず知能は比較的高いことが多いです。そのため認知症の知能テストをしても検出されず正常と言われて、認知症と診断されないことがあります。しかも、そういう人は、テストされるとなると、普段よりも頑張って良い点数を出そうとします。

 

さらに、相手を見て態度を変えることがしばしば見られます。病院に行ったり、診察の場では、神妙にしていたり言うことを聞いたりするのですが、自分の家だったり、相手が家族や介護者だったりすると、途端に扱いにくくなります。

 

2人以上の家族がいれば、いつも決まった人(大抵はご主人)をターゲットにして責めたり、反発したり、暴言を吐きます。施設で介護されている高齢者では、決まった介護者をいつもターゲットにして責め抜き、職員が耐え切れずに辞めてしまうことさえあります。

 

特定の人を責める内容は、「(自分の物を)盗った、隠した、壊した」「自分の悪口を言っている」などです。「女のところへ行っている」とか「色目を使った」などという嫉妬妄想のこともあります。「それは違う」と言い訳をしても、本人はより怒りを増すだけで、人の話に耳を貸そうとしません。

 

それでは、ここに挙げたような、メンタルの症状が強い高齢者と一緒に暮らしている場合にはどうすれば良いでしょうか?

 

家族の1人だけを悪く思っており、態度もきつい場合には、私はターゲットとなっている家族に、できるだけ離れて過ごすことを勧めています。家でいる部屋を別々にしたり、どちらかの人の外出を多くして一緒にいる時間をできるだけ少なくしたり、というふうに。

 

高齢者の場合には、デイサービスやショートステイを使うことで、残りの家族が休息を与えられたり、出かけた本人も気分転換になって良い効果が期待できます。さらに、高齢者の言動に家族が精神的に耐えられない場合には、精神科を受診させて抗精神病薬を調整してもらったり、高齢者を施設に入れて家族が解放されることを検討してもらいます。

 

やっかいなことに、本人は自分の精神的な問題だとはまったく思っていないことが多いので、精神科受診を拒否しがちですし、抗精神病薬を処方されても、「毒を盛られている」「この薬を飲むと調子が悪くなる」と拒否したりします。

次ページご家族に昔の話を伺うと…

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録