「計算問題はできても、文章題が苦手な子」は多い
「計算問題はできるけど、文章題は苦手」と話す子どもは多い。「書いてあることをそのまま計算式に導き出せばいいでしょ?」と思うような基本的な問題でも、手が止まってしまう子ども達を多く見てきた。もちろん年齢を問わず自分から進んで読み解ける子もいる一方で、文章題を苦手とする子どもたちにとってはここがとてつもなく高い壁に感じるのだ。
文章題の中でも基礎から応用まで様々な問題がある。その中でも今回は大人からすれば読めば分かるような文章題を取り上げ、子どもがつまずく理由とそれを少しでも克服できるような方法をお伝えしたい。
つまずく理由①「できない」という思い込み
「9歳の壁」という言葉をご存じだろうか。文部科学省はこれに関して次のように述べる。
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“9歳以降の小学校高学年の時期には、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる。”
(文部科学省「3. 子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」より引用)
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小学校4年生になると、勉強する量が増え、計算だけではなく文章題に触れる機会も多くなる。そのため、これまで特に問題なく学校の勉強もできていたのに、急に自信をなくし、勉強が苦手になったということが起こりうる。
これが「9歳の壁」である。ここでつまずくことで、「できない」「苦手」という思い込みが始まり、今後の学習に大きく影響を及ぼす。個人差が顕著になってくるのはこの時期からなのだ。
■思考停止に陥り、「読めば分かりそうな問題」も解けなくなってしまう
中学受験を考えている場合、小学校4年生(厳密には小学3年生の2月)から塾に通い始める子どもが多い。特に、中学受験対策では、計算だけでなく文章題の基礎から応用まで様々な問題に取り組む必要があるため、そこを解決せずに苦手意識を抱えたまま進んでしまうとそのままズルズルといってしまう。
一度文章題に苦手意識を感じてしまうと、「解きたくない」「読んでも分からない」「絶対難しいから解けない」など、解く前から思考をストップさせてしまうのだ。思考がストップしている状態で文章題を読ませても、「文が読み取れない」「文章を飛ばし読みしてしまう」など様々な問題が生じてくる。これにより、読めば分かりそうな問題でも答えられなくなってしまう一因となる。