「訴状」によって…イケメン医師が迎えた悲惨な末路
訴訟前には協議の交渉をするのが通例です。しかし交渉をするべく大野さんのメールアドレス宛に通知を出しても、なしのつぶてが続いたため、やはり訴訟へ進むこととなったのですが…。
ここで、訴訟をする際には相手の住所が必要となることをご存じでしょうか。
携帯電話の番号がわかれば住所を調べることができるのですが、河野さんは彼の携帯番号を知りませんでした。わかるのは、本務先の病院だけ。こういった場合には「就業先送達」をする、すなわち就業先に訴状を出すしかありません。
やむなく訴状を就業先に出したところ、突然、代理人宛に電話がきました。「こんなものを職場に出すなんてありえない」「俺を陥れるための罠を仕掛けていたんだろう!」……そんな主張を続けます。
しかし次にやってきた連絡は「お金は払うから訴状を取り下げてほしい」という旨へ変わっていました。
というのも、訴状は就業先の病院内で尾ひれがついて噂となり、大野さんは辞職して地元へ帰らざるを得なくなったとのこと。すっかり参ってしまったのだそうです。結局、早期に和解を成立させることになりました。
大野さんが何を思って慰謝料を請求してきたのかはわかりません。そもそもなぜ様々な人と不倫関係を持とうとするのか、婚姻関係はどんな状態にあるのかなど理解できない点は多々ありますが、やはり病院内での不倫は多いものだ、と実感させられる出来事でもあります。
イケメン医師として公私ともに恵まれた生活をしてきた結末がこれとは、なんとも切ないものです。
本件はもちろん河野さんにも非がありますが、なかば関係を強いられていた不倫相手から慰謝料を請求され泣き寝入り……というのはあまりにも理不尽でしょう。ひとまず解決できてなによりと言えます。
齋藤 健博
銀座さいとう法律事務所 弁護士