(※写真はイメージです/PIXTA)

わが子の学力を伸ばすには、どのような塾・予備校を選ぶべきなのでしょうか? 塾講師として中高一貫校に通う生徒の難関大学現役合格をサポートする乾俊和氏が、「塾・予備校選びのポイント」を解説します。わが子を中高一貫校に通わせているという保護者はもちろんのこと、それ以外の保護者にとっても参考になる内容です。

「勉強を目的とする生徒」が多く通っているか?

〈「真面目な生徒が多い塾」を選ぶメリット〉

◎勉強に集中できる環境が整っている

 

■塾によっては「出会い目的で通う生徒」も少なくない

私立中高一貫校の多くは男子校、女子校であり、共学は増えているものの多くはありません。

 

男子校、女子校を否定するものではありませんが、多感な思春期には、異性に関心を持つのは当然のことです。私立中高一貫校では、出会いの場を塾・予備校に求める風潮が強くなっています。特に高校生ともなると、塾・予備校を舞台に恋愛に走る生徒が増えてきます。

 

塾・予備校で出会いの方法を案内しているWEBサイトすらあります。自由恋愛を否定するものではありませんが、塾・予備校は勉強する場です。少なくない費用を払って通わせてもらっているのです。第一志望に受かりたいなら出会い系塾は避けるべきです。

 

なぜなら勉強のモチベーションになることが少ないのが恋愛だからです。これは、昔から変わっていません。大学入試でも、確実に合格すると思っていた生徒が不合格になった場合の理由に恋愛があるケースを何度も見てきました。恋愛をすると勉強がおろそかになりがちなのは、男の子に多い傾向にあります。もちろん女の子も恋愛で強くなることはまれで、多くは成績が下降するものです。

 

異性がたくさんいる中で、恋愛をするなと言っても効果ありません。むしろ禁止と言えば言うほどしたくなるのが恋愛でもあります。第一志望に合格するよりも、青春時代の恋愛のほうが大切であるという考え方もあります。しかし第一志望を優先するならば、出会いの少ない塾・予備校を選ぶべきです。

 

出会い系でない塾・予備校の特徴は、まじめな生徒が通っているところです。塾に行く目的が明確な子どもであり、家庭です。

 

ぜひ、休日や夏休みを利用して、校舎見学をしてみてください。見学ができない場合は、校舎から出てくる子どもの様子を観察してください。勉強を大切にしている生徒が多い塾・予備校は一人で校舎に入り、一人で校舎から出ていく子どもが多く、逆に出会い系になっている塾は派手な服装をした男女が一緒に連れ立って出ていく塾です。その多くは最寄りの駅ではなくカラオケボックスや公園へと向かうはずです。また子どもたちの服装や持ち物を見ることで、勉強が目的なのか遊びが目的なのかは一目瞭然です。

講師が生徒の名前を覚えているかどうか

〈「生徒の名前を覚えている講師」を選ぶメリット〉

◎子どもの個性を理解している講師である

◎子どもと信頼関係を築ける講師である

 

■「自分の名前を覚えている講師」からのアドバイスは子どもに響く

「生徒一人ひとりを大切に」とは塾・予備校のよくある宣伝文句です。一人ひとりを大切にすることによる学習効果が高いことは論をまちませんが、これを実践している塾・予備校はほとんどないように思われます。いろいろな場所で多くの生徒を指導している講師が生徒の名前を一人ひとり覚えるのは土台無理です。一説によると、脳の機能から、顔と名前、その人にまつわるストーリーが一致するのは80〜250人程度だそうです。

 

人が最も幸福になれる呼びかけは「本人の名前」を呼ぶことです。「名前を呼ぶだけ」「呼ばれるだけ」で承認欲求が満たされるのです。子どもとの信頼関係を築くにあたっては、この承認欲求はとても大きく作用します。

 

承認してくれる人からの言葉は信頼するが、承認してくれない人の言葉は響きません。もちろん、名前だけではありません。自分のストーリー(人生)を承認することも大切です。自分の悪口ばかり言えば、たとえ親であっても子どもは話を聞かないものです。勉強していく中でここという時に役立つのは、子どもを承認する気持ちの強い人からのアドバイスです。

「受験指導ができる講師」はいるか?

〈「受験指導ができる講師」のメリット〉

◎教科の「断捨離」を指導してくれる

 

■大学受験に必要なのは「高得点を目指す指導」でなく「合格点を取る指導」

「塾・予備校の講師は受験のプロ」だと思っているとしたらそれは大きな勘違いです。教科指導のプロとは言えますが、受験指導のプロではありません。もちろん彼らは指導教科については十分な知識を持っていることでしょう。かえって、それが合格を遠ざけてしまうこともあります。

 

大学受験は合格点を取るゲームであって、高得点を取るゲームではありません。高得点を取るには、教科指導の講師は向いています。例えば、京都大学の国語で出題される小説は極めて難しく、予備校間ですら模範解答が違うことは少なくありません。

 

そうした場合に、教科指導の講師はその問題をどのようにして解答するかに時間を充てますが、合格講師であれば小説が出てきた場合はあまり時間をかけることなく、他の問題に時間をかけ、小説は点数の取れる設問、つまり簡単な設問だけを解くように指導します。

 

合格講師にとっては、生徒が合格することが一番だからです。東大現代文の国語で漢字の勉強に時間をかけるな、と指導するのが合格講師です。

 

また英語の講師であれば、やたら「ネイティブ」という言葉を使いたがりますが、このような指導を行う講師は合格講師ではないと言えます。なぜなら大学入試は、高校生としての学力を測るのであって、ネイティブのように書くことは要求されていないからです。

 

大学入試は、二次試験でも合格ラインは60%前後です。解けない問題や不正解があるのが普通です。むしろ解けない問題、時間効率の悪い問題を見極めさせ、できる問題を確実に得点する指導が必要なのです。

授業中に当てるなどの「双方向型の授業スタイル」

〈「双方向型」のメリット〉

◎子どもが授業に意欲的に取り組める

◎自分の意見や考えを伝える能力が身につく

 

■授業スタイルの主流は「一方通行型」だが…

いまだに一方通行型の授業が主流です。知識伝達だけであれば、こうしたスタイルも向いているかもしれませんが、個人の集中力、理解力によってその成果は大きく異なります。自分から発信することがないので、参加意欲も期待できません。モチベーションの低い生徒や学力の基礎ができていない生徒であれば、座っているだけや、場合によっては寝ているだけのケースが大半です。

 

こうした一方通行型の授業スタイルに対して、双方向型の授業スタイルやゼミ形式の授業を取り入れている塾・予備校もあります。しかし双方向型は、必然的に少人数授業になるため講師の負担も大きく、経済的に利益が出にくいため、採用している塾・予備校は少ないのが現実です。

 

双方向型の特徴としては、①授業が楽しい、②他人の考えからも学習できる、③発言することで思考を言語化する訓練ができる、④③により自己表現力が身につく、などさまざまな学習効果が考えられます。

 

特に、③、④の発言力・発信力を身につけることは、将来社会に出るうえで大きな力となります。「自分の意見や考えを相手に分かりやすく伝えられる能力」は、主体的に生きていくためにはぜひとも身につけたいものです。自分の意見や考えをまとめる過程で論理思考力や創造性が培われ、伝える相手がいることで、相手の個性や人格を尊重しながら表現するための人に対する思いやりと自らの表現力が培われるのです。

小人数制である(個別対応可能)

〈少人数制のメリット〉

◎少人数制のクラスでは、教師と生徒の関係を作りやすい

◎双方向のため、高い学習効果が得られる

◎生徒一人ひとりに目が行き届く

 

クラスの適正人数に関しては、いろいろな調査がありますが、私の経験的には塾・予備校に関しては10人から30人程度が妥当だと考えています。これより少なすぎると、良い意味での競争意識が薄まると同時に講師と生徒の間に「甘え」や「なあなあ感」が生じます。加えて、新しい生徒が入りにくい雰囲気となり刺激が少なくなります。往々にして、在籍している生徒は楽しいが成績の上がりにくいクラスと化します。

 

30人を超えると、生徒一人ひとりに対して目を配ることや双方向型のアクティブな授業運営が難しくなります。もちろん、講師の力量や生徒の層によりますが、多数の授業を見てきた経験からは10〜30人程度が学習効果が高いと考えています。

 

 

乾 俊和

株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長

 

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※本連載は、乾俊和氏の著書『具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

乾 俊和

幻冬舎メディアコンサルティング

勉強への意欲がアップする! 定期テストや模試の成績も上がる! 東大合格も夢じゃない! 塾講師として中高一貫校に通う子どもたちを約30年間サポートし、学校の最下位グループから東大理IIIや京大医学部に進学させた実績…

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