自社の商品やサービスのファンになってもらうことが
コンテンツマーケティングの意義
まず、コンテンツマーケティングとは一体何なのでしょうか?
端的に言ってしまうと、「自社の商品やサービスのファンを創り出すこと」です。
ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作・発信することで、潜在顧客を掘り起こし、自社の商品やサービスの購入へとつなげる、この一連の流れを循環させていくことで、最終的にユーザーを自社の商品やサービスのファンへと変えていくことを目指すのがコンテンツマーケティングなのです。
ここで重要なのが、ユーザーに商品を購入してもらってそこで終わり、という訳ではなく、ユーザーと継続的に接点を持ち続けることで「お得意様」になるまでユーザーを育てていくということです。
理想的な関係ではありますが、簡単ではありません。しかしながら、なぜ今それが必要とされるのか、その理由を見ていきましょう。
「商品を見る前から購入を決めている」消費者には
従来の宣伝は通用しない
インターネットの検索エンジンやスマートフォンの台頭により、ユーザーが自分の求める情報を自ら積極的に探すことが容易になっています。そのため、従来のPUSH型マーケティングには限界が来ています。PUSH型マーケティングとはテレビCMやテレアポ型のセールスなどを指しますが、いくらユーザーに商品やサービスを積極的に売り込んでみても、ユーザーが自分で集めた情報を重視するために、効果がうまく上がらないというケースが増えています。
商品購入の際にも、実際に売り場で「商品を見て購入を決める」から「商品を見る前から購入を決めている」時代がやって来ているのです。
従来の宣伝方法だけでは、ユーザーに商品やサービスへの興味喚起は行えるものの、その先にはなかなかつながらないというのが現状です。
自社の商品やサービスに合わせて、バランスよく
「売り」を考えていくことが重要
そこで注目されているのが、ユーザーの興味を引いて、購入へとつなげて行くPULL型の宣伝手段を持つコンテンツマーケティングなのです。コンテンツマーケティングにも様々なやり方があるのですが、大まかに4つの要素に分けて考えることができます。
まずは、「ユーザーの感情に訴求するのか」「ロジックに訴求するのか」という要素、そして「商品の"認知獲得"を第一とするのか」「商品の"購入"を第一とするのか」という要素です。どれか1つを選ぶのではなく、自社の商品やサービスに合わせて、4要素のバランスを取って展開することが重要となります。
では、実際にどのような手段があるのか見ていきましょう。
・ビジネスブログに代表されるストック型メディア
発信していくブログ記事の1つ1つがコンテンツ資産としてサイト上に蓄積されていくことから「ストック型」と呼ばれています。記事が増えるほどコンテンツが充実し、検索エンジンからの評価も得やすくなることがポイントです。
・ホワイトペーパー
元々は政府や公的機関の年次報告書である「白書」を指す言葉ですが、コンテンツマーケティングでは、市場環境や技術動向の分析・導入事例の解説・他社商品との比較などのコンテンツを盛り込んだ文書を指す言葉としても使われています。確たる調査や裏づけの元、発信される情報なので、自社のブランディングや商品購入への後押しにつながります。
・メールマガジン
メール配信により、ブログ記事などの情報を継続的にユーザーに届けることで、コストをかけずに多くのユーザーをサイトに呼び込めるのが大きな利点となります。一方で、PUSH型の施策でもあるので、メールが開封されなければ意味をなさないのがデメリットでもあります。
・YouTubeなどの動画共有サイトを利用した動画配信
一番の特長はわかりやすさとインパクトです。ユーザーの興味を高める効果は絶大で、商品購入にもつながりやすい宣伝方法です。動画をシリーズ化することで、商品やサービスへのファン化が行いやすいのもポイントです。制作にコストと時間がかかるので、そのハードルをどう越えていくのか考える必要があります。
・事例紹介型コンテンツ
自社や商品のサイトを利用した「顧客の導入事例」を紹介するコンテンツで、「なぜ」「どのように」「その結果どうなったのか」をユーザーに疑似体験させることで、商品やサービスの購入へとつなげていく方法です。実際の顧客の生の声なので、潜在顧客の掘り起しにもつながりますが、そのコンテンツまでどうやってユーザーを誘導していくのかが課題となります。
以上が、コンテンツマーケティングで使われている宣伝方法の紹介となります。どのやり方も短期で結果を出すというよりは、継続的に行うことで潜在顧客を掘り起こし、ファン化させていくことが求められるので、コンテンツマーケティングを行う企業側にも中・長期的視点が必要となります。
まとめ ―発信側にはぶれない戦略が必要―
コンテンツマーケティングが成功するかどうかは、どれだけ戦略的な取り組みができるのかにかかっています。
気をつけなければならないのは、「ユーザーを逃がさない」という考えが強く出すぎて、コンテンツが情報過多になっていないかという点です。あくまでユーザーが収集するのは"自分が欲しい情報"です。
求められるのは、ユーザーの潜在的ニーズを満たし、それを顕在化するコンテンツで、そのためにはユーザーの趣向や動向の分析と、それに合わせたコンテンツの絞込みが重要となります。ユーザーをしっかりと捉えつつも、それに左右されるのではなく、自社商品やサービスの利点を捉えたぶれない戦略がコンテンツマーケティングを成功に導くのです。