ふたつの大動脈が交差する「物流の街」コーンケーン
ベトナム、ラオスを通過した東西回廊は、広大なタイの大地を横切っていく。イサーン(タイ東北部)の各都市を貫いているのだが、これらの都市はいま地価が上昇しつつある。回廊の活性化によって物流が盛んになり、好況が見込まれているからだ。
とくに元気な街が、イサーン屈指の大都市であるコーンケーン。大学など教育機関の多い文教都市でもあるのだが、ここはふたつの大動脈が交差する場所。東西経済回廊と、南北経済回廊が出合う街なのだ。中国からラオスを経て南下してきた回廊と、ベトナムとミャンマーを結ぶ回廊とが、このコーンケーンで交わる。鉄道、空港もある地域の一大ターミナルで、これから物流の拠点として開発が見込まれている。
物流倉庫や賃貸倉庫、それらが集まった大型団地を運営する会社がコーンケーンに進出し、土地確保に乗り出したことがタイ国内では大きくとりあげられ、「物流の街コーンケーン」を印象づけた。
またイサーン地方はバンコク首都圏に比べれば人件費が安い。そして労働人口が豊富だ。これを目的とした日系メーカーの進出も出てきている。コーンケーンで生産した商品を、東西・南北の経済回廊を使って輸出していくのだ。
こうしてにわかにクローズアップされるようになったコーンケーンでは、消費も盛んで、新しいショッピングモールやホテル、コンドミニアムの建設も目立つ。
タイ初の高速鉄道が通過するピサヌローク
東西回廊をさらに西に進んだ街ピサヌロークも、やはり地価の上昇と活況が伝えられる。市内中心部では2〜3倍にまで高騰した土地もあるという。
経済回廊の効果に加えて、ピサヌロークはタイ初の高速鉄道が通過する街だ。バンコクとチェンマイを南北に結ぶこの計画には、日本の新幹線が導入されることになっている。この鉄道予定地もまた、地価が急騰している。
こうして経済回廊の効果は、タイ国内では早くも表れている。ムクダハン、メーソートなど国境の街ではとくに顕著だ。タイ国内だけでなく、経済力をつけてきたラオスやミャンマーからの観光客、買い物客が増えると読み、大型ショッピングモールなど小売業の開業も増えてきている。国境経済はますます活発になっていくだろう。
ただ、ミャンマー・ダウェイに向かう街道上のカンチャナブリ県などでは、すでに不動産バブルを煽る動きも出てきている。日系のコンサル会社も入っており、投機の対象になっているのだ。日本の政経界が重視してはいるが、ダウェイの開発はまたまだ緒に就いたばかり。あまり性急に利益を追い求めると、痛い目に遭うかもしれない。