中国「ゼロ・コロナ政策」のターニングポイントはいつか?日本の個人投資家への影響は? (画像はイメージです/PIXTA)

中国経済の中心地である上海は、6月1日午前0時から新型コロナウイルス対策の規制を緩和し、約2ヵ月間継続されたロックダウンは実質解除となった。「ゼロ・コロナ」政策と、経済成長の両立に苦しんだ中国市場の現在を、香港在住・国際金融ストラテジストである長谷川健一氏が徹底解説する。

「ゼロ・コロナ政策と「経済政策」は相反する目標

そもそもではあるが、「ゼロ・コロナ」政策を堅持することと、国家目標として掲げた年
5.5%前後の経済成長を実現するということは、政策目標として相反している。アクセルとブレーキを両方踏んで車を運転するようなもので、両立を実現する有効な政策カードが見当たらないという難しい問題に直面した。

 

新型コロナウイルスの感染は国民の生命のリスクに直結する。対して、有効な経済政策を打てないでいる間に、ロックダウンによる新型コロナウイルスの封じ込め政策を厳格に適用しつづければ、経済と市場には不確実性が増加する。2020年には底割れしなかった中国経済に、リスクが高まっていることが明らかになってきた。

 

5月23日、中国国務院では、李克強首相が常務会議を主催し、強力な経済支援措置のパッケージを導入することを決定した。経済活動を正常な軌道に戻すために6分野33項目に及ぶ、景気安定化策を実施するというものだった。

 

報道では、国務院が、新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロ・コロナ」政策にともない、多くの企業などにとって非常に厳しい状況になっているとの認識を示したとの一節も加えられていた。

 

このとおりとすれば、経済の底割れリスクを認識し、少なくとも経済政策についてはより積極的に打って出る姿勢に転換したものと思われる。相当な危機意識を持って、踏み出したということになる。

 

財政政策としては、以下の通りである。税還付を受けられる業種を増やし、年間の減税・
税還付の規模を2.5兆億元から1,400億元(約2兆6600億円)上積みして2.64兆元に増額する。中小零細企業や個人事業主、一部業況が悪化した業種に認めていた年金掛け金などの社会保険料の納付も年内は猶予する。乗用車購入税も600億元減税するというものである。

 

他には、サプライチェーンや物流の回復を支援するため、国内外の旅客便を増やすとの
措置が、挙げられていた。

 

また、金融政策でも工夫の跡がうかがえるものだった。零細企業向け融資を増額する。小規模事業主の借り入れや「ゼロ・コロナ」政策による物流混乱の打撃を受けた運送会社などが持つトラックのローン、個人向けの自動車ローンについて、市中銀行に対して年内の元利払いを猶予するよう補助する。また、農村部での灌漑事業や老朽化した住宅街の改築のための長期融資を市中銀行に推奨するなどである。

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者 国際金融ストラテジスト <在香港>

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

    2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon WealthLimitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset ManagementLimitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFCCE No. BIS009)
    世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。などを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。

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