(画像はイメージです/PIXTA)

中国経済の中心地である上海は、6月1日午前0時から新型コロナウイルス対策の規制を緩和し、約2ヵ月間継続されたロックダウンは実質解除となった。「ゼロ・コロナ」政策と、経済成長の両立に苦しんだ中国市場の現在を、香港在住・国際金融ストラテジストである長谷川健一氏が徹底解説する。

「ゼロ・コロナ政策は、中国の新型コロナ対策の基本

今年4月に入り、世界の主要各国は、新型コロナウイルス感染防止対策として採用してき
た行動制限などを緩和する姿勢に転じた。

 

欧米諸国のなかには、いち早く転換を図って、屋外でのマスク着用義務を撤廃したり、外食に関する規制を大幅に緩和したりするなど、積極的に「ウイズ・コロナ」政策へ舵を切る国もでてきた。

 

一方で、中国は3月に上海市、4月に北京市や天津市などで感染状況が悪化し、「ゼロ・コロナ」政策を堅持して、厳しいロックダウンが実施された。欧米諸国とは全く逆の動きが広がった。

 

上海市では大規模にロックダウンが実施されたため、一時、食料の調達にも市民が困難に直面するほど混乱した。経済的には、市民への行動制限は生産活動に支障をきたし、昨年来の贅沢禁止による消費意欲低下とサプライチェーンの混乱で、経済成長に陰りが出ていた中国経済には、一段と下方圧力が掛かった。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年には、中国政府は、速やかに徹底的な封じ込め策を打ち出した。早い段階で感染の拡大を防ぎ、結果的に短期間の行動制限を課すにとどめることができたことで、新型コロナウイルスの罹患による社会的な影響を最小限化した。

 

経済的には、2020年前半は中国国内需要を刺激し、国内循環による経済の下支え策をとった。そして、年後半は世界需要の回復による需要の復興に合致するよう、製造拠点の生産水準を高める策をとった。

 

また、金融政策でも、中国人民銀行が果断に金融緩和政策に転換し、潤沢な流動性を供給。金利を下げて企業活動を下支えした。

 

これにより、2020年第1四半期のGDP成長率(実質)こそ前年比で▲6.8%と、新型コロナウイルスの感染防止策を講じた影響が色濃く出たが、その後は急回復し、2020年一年を通せば、経済成長率で前年比+2.3%を達成した。

 

しかし、今回の局面では、前回の成功体験はむしろ仇になったのかもしれない。「ゼロ・
コロナ」政策は、2020年に流行した新型コロナウイルス株と今回の新型コロナウイルス変異株では、異なる結果になってしまった。

 

都市部での行動制限は長引き、巨大な人口を有する都市での隔離生活を長期間を支えるには、物流もインフラも耐えられなかった。食糧にも事欠き、対応も後手に回るなど、社会の不満を増幅させた。

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