いくら以上の所得で「資産管理会社」の設立すべきか
では、資産管理会社を設立した場合実際どうやって活用していくのでしょうか。
これは、具体的には「所得税率と法人税率の差」を利用して「節税」をしていきます。
個人の所得税というのは、収入に応じて税負担がどんどん上がっていく「累進課税」という仕組みになっています。住民税の負担と合わせると、最大55%が個人の税率となります。一方、法人の実効税率は最大35%程度です。
このため、収入に応じて税率が上がる個人と一定の法人とで、ある所得を境に必ず分岐(クロス)するところが出てきます。
それが「所得800万円~900万円」のあたりです。ここを超えてくる方は、法人化を検討する価値が十分にあります。
もう少し詳しくいいますと、法人の実効税率は「利益が400万円~800万円までは25%以下」、「800万円を超えると最大の35%程度」と定められており、10%の差があります。ここに「800万円の壁」があるわけです。
計算上、たとえば4千万円の利益を法人で受け取るよりも、単純計算で10個の法人を作って400万円ずつ受け取った方が税率的には圧倒的に有利ですので、ここに「資産管理会社を複数持つ」という選択肢が出てきます。
法人を保有するとたしかにランニングコストというデメリットがあるものの、それ以上に税制面での優遇を受けられるために資産管理会社をたくさん所有される方もいらっしゃるということです。