M&Aは会社の重要機密であり、情報が漏れると社員の離脱につながる大変センシティブな事象です。そのようななか、経営者はこの重要な情報について、まずは誰に相談すべきでしょうか? 永田町司法書士事務所の加陽麻里布司法書士が、M&Aのメリット・デメリットや具体的な手続き方法など、M&A活用のポイントと注意点について詳しく解説します。

事業承継で引き継ぐ3つの経営資源

事業承継全般に共通していることですが、まず事業承継において引き継ぐべき経営資源は3つあります。

 

まずは「人(経営権)」です。これには育成ステップを踏む必要があり、一般的に10~15年の月日がかかります。

 

そして「資産」ですが、これは事業資金・設備・不動産・株式、そして税金や借入といったマイナス資産も含めたものを指します。税務上の問題も伴うため、税理士などの専門家にスキームを検討していただく必要があります。

 

3つめは「知的財産」です。これは経営ノウハウ・取引先・組織力・自社のブランド・特殊技術といったものを指します。

M&Aのメリット・デメリット

メリット

メリットとしてまず挙げられるのは、「広く人材募集をすることができる」点です。後継者育成には5年~10年かかるといわれていますが、これらの経営ノウハウや実績をすでに持っている適切な買い手を見つけることができれば、このような後継者教育が不要になります。

 

そしてやはり、会社のさらなる発展や継続性を期待することができるというのも大きなメリットといえるでしょう。

 

デメリット

魅力ある会社でなければ、当然買い手はつきません。

 

そしてM&Aで事業承継する場合は、親族や従業員に引き継ぐ場合と異なり「引退」の色が強く、現経営者はリタイアによる喪失感を大きく感じるところがデメリットといえます。

 

従業員や親族に承継させる場合は、その従業員・親族を代表者にしたあと自身が会長となって2人3脚で5年ほどフォローし会社経営していくのが一般的ですが、第三者に売却する場合は現経営者はその会社から「完全に離れる」という選択を取る場合が多いため、やはり「引退色」が強くなる懸念があります。

専門家、公的機関…M&Aを決意した場合の「相談先」

M&Aを決意した場合には、まず外部に相談する必要があります。この相談先を「どこにすればいいか」という質問をよくいただきますが、相談先はさまざまです。

 

まず会計士や税理士といった専門家やメインパンクに相談するというのが一般的です。メインバンクであれば会社の財務状況をよく知っていますし、親身に相談に乗ってくれます。

 

また、公的機関に相談するということも可能です。

 

経済産業省管轄の中小企業庁が全国47都道府県に商工会議所を設置しており、そのなかに「事業承継支援センター」や「相談窓口」を設定しています。M&Aのイメージがつかないという方は、まずここに相談するのも手です。

 

その他M&Aコンサルティングや仲介会社などもあります。こちらは「成功報酬で動いてくれる」といったメリットもありますので、M&Aを決意した場合にはまずなんらかの専門家に相談することからスタートすることをおすすめします。

 

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本記事は、GGO編集部あてに届いた事例をもとに、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が解説したものです。

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