資源高だけじゃない、羨望のオーストラリア経済【専門家が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

 

オーストラリア経済が順調に回復しています。資源高によるインフレや米国による急速な金融引き締めから、世界経済の先行きには不透明感が漂っていますが、オーストラリアでは順調な内需に支えられた景気回復が続いています。また、昨年来急速に進んだ資源高もあり、豪ドルは主要通貨に対して堅調に推移しており、対円では4月20日に2015年6月以来の約7年ぶりの高値をつけました。

 

(注)データは2019年12月31日~2022年5月9日。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
豪ドル円レートの推移 (注)データは2019年12月31日~2022年5月9日。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

資源高が追い風

■オーストラリアは日本の約20倍の国土に、日本の人口のほぼ5分の1(2,569万人、2020年現在)が暮らすという、なんとも余裕のある国です。そして、更に「うらやましく」感じられるのは、広大な国土に眠る膨大な天然資源です。

 

■オーストラリアは資源・エネルギーの世界有数の供給国です。主なモノでは鉄鉱石(生産・輸出で世界1位、2020年)、石炭(輸出で世界1位、埋蔵量で世界3位、2020年)、液化天然ガス(LNG、輸出で世界1位、2021年)など、わたしたちの生活に必要不可欠なものばかりです。また、希少金属・土石類も豊富で、ニッケルの埋蔵量でも世界2位(2021年)となっています。

 

■オーストラリアによる輸出のほぼ7割は、こうした天然資源だといわれています。このため昨今の資源高は、同国経済にとって大きな追い風となっています。

脱炭素社会で光るお宝も

■天然資源が豊富なオーストラリアですが、脱炭素社会で需要が急増する希少金属や希土類(レアメタル)についても、豊富な埋蔵量を誇ります。

 

■例えば、電気自動車(EV)に搭載される大型電池の生産に不可欠なリチウムは、その希少性から別名「ホワイトゴールド」とも呼ばれていますが、オーストラリアはその生産量で世界1位です(2021年)。また近年、欧州を中心にクリーンエネルギーとしての原子力発電を再評価する機運が高まっていますが、オーストラリアは燃料であるウランの埋蔵量で世界1位、生産量で世界2位となっています(2019年)。

 

■他にも、自動車の燃費改善に必要な軽量化素材として注目されるアルミニウムやチタニウムについても、その生産や原料の埋蔵量で世界のトップクラスの地位を占めています。

資源高だけじゃない、安定感抜群の経済ファンダメンタルズ

■コロナ禍で厳格な都市封鎖が実施されたため、2020年のオーストラリア経済はマイナス成長となりましたが、それまで実に28年間にわたり連続でプラス成長を続けました。この間、世界経済は90年代後半のアジア通貨危機に始まり、ITバブル崩壊、リーマンショック、欧州通貨危機など、度々危機に見舞われましたが、オーストラリア経済は安定的な推移を続けてきました。

 

<人口増がもたらす経済の安定成長>

■こうしたオーストラリア経済の「抜群の安定感」の背景には、移民受け入れと自然増による人口増加と健全な人口動態があります。

 

■このため、先進国としてはめずらしく、今後も長期的に人口の増加が続くものと予想されています。国際連合(UN)の推計では、現在約2,600万人の人口は、2050年には約1.3倍の3,300万人まで増加するものと予想されています。

 

■豊富な天然資源がある種の「インフレヘッジ」として機能することで、オーストラリアは昨今の資源高の環境下にあっても、堅調に成長するものと期待されています。加えて、今年度予算で政府が消費支援策を打ち出したこともあり、弊社では今年のオーストラリアの経済成長率見通しを+3.8%から+4.1%に上方修正しました。

 

(注)データは1980年~2027年。 2021年以降は国際通貨基金(IMF)の予測値。 (出所)IMFのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
オーストラリアの実質GDP成長率 (注)データは1980年~2027年。2021年以降は国際通貨基金(IMF)の予測値。
(出所)IMFのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2020年~2050年。UNによる中位推計。2020年を100として指数化。 (出所)UNのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
人口の長期推計 (注)データは2020年~2050年。UNによる中位推計。2020年を100として指数化。
(出所)UNのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

<中国との関係には注意を>

■ただし、中国との関係には注意が必要です。中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国です。しかし、米英豪3ヵ国の軍事同盟(AUKUS、オーカス)や日米豪印戦略対話(QUAD、クアッド)といった対中安全保障政策の強化に対して、中国は神経をとがらせており、両国の通商関係に影を落とす結果となっています。また、中国政府によるゼロコロナ政策も同国経済の減速を通じ、オーストラリア経済への逆風となりかねないため、その動向には注意が必要といえそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『資源高だけじゃない、羨望のオーストラリア経済【専門家が解説】』を参照)。

 

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連載【デイリー】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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