3年前に亡くなった父が「借金の連帯保証人」だった…いまさら相続放棄はできるか【弁護士が解説】

3年前に亡くなった父が「借金の連帯保証人」だった…いまさら相続放棄はできるか【弁護士が解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

3年前に亡くなった父が「連帯保証人」だった…手続きの期間は過ぎていますが、息子は相続放棄することができるのでしょうか。今回は、被相続人が連帯保証人だった場合の「相続放棄」の手続き方法と注意点について、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

「相続放棄」手続き時に必要な書類

相続放棄は、被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所で手続きをします。

 

必要書類は以下のとおりです。

 

・相続放棄の申述書
・被相続人の住民票除票または戸籍の附票
・被相続人が死亡した事実を確認できる戸籍謄本、除籍謄本
・相続放棄者の戸籍謄本

 

孫が代襲相続する場合や親、兄弟姉妹などが相続するケースでは、上記とは別の「戸籍謄本」類も必要です。

 

必要書類を揃えたら、収入印紙800円と連絡用の郵便切手を購入して一緒に家庭裁判所へ提出しましょう。これで手続きが完了します。その後、しばらくすると家庭裁判所から自宅宛に照会書が送られてきます。同封されている「回答書」に記入をして、家庭裁判所宛に返送しましょう。

 

回答内容に問題がなければ相続放棄の申述が受理され、連帯保証債務が及ぶことはなくなります。

知らずに連帯保証人になっているかも…郵便物の確認を

被相続人が連帯保証人となっている場合、相続発生後すぐには相続人が気づかないケースが多々あります。主債務者が支払い続けている限り、連帯保証人には支払いの請求が来ないからです。

 

被相続人の預金取引履歴などを確認しても、支払っている形跡がないので「負債はない」と考えてしまう方が多いのです。

 

このように連帯保証債務の存在に気づかず相続放棄の申述可能な期間を過ぎてしまっていた場合、知らないあいだに連帯保証債務を相続してしまいます。そうなると、もし債権者から請求が来た時には支払いせざるを得なくなるケースがほとんどです。

 

特に注意した方がよいのは、被相続人が事業者や経営者だったケースです。

 

上記のような方々は、会社やつきあいのある経営者、知人などが連帯保証人となっていることが少なくありません。自宅や事業所に契約書などの書類が保管されていないか、しっかり確認しましょう。

 

それ以外にも、金融機関などからお知らせの書類が届いていないか確認するため郵便物をチェックし、負債や借入を窺わせるようなメールが届いていないか、電話がかかってきていないかなども併せて確認してみてください。

 

まとめ

 

被相続人が連帯保証人だった場合、相続人が連帯保証債務を相続してしまうことになります。主債務者が支払わなくなったら代わりに返済しなければなりません。連帯保証債務を相続したくなければ、家庭裁判所で相続放棄の申述をしましょう。

 

ただし相続放棄にはメリットだけではなくデメリットもありますし、期間制限もあります。

 

連帯保証人の地位を引き継いでしまって相続放棄すべきかどうか迷ったら、遺産相続に詳しい弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所 弁護士
 

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