1ドル135円「超円安時代」の再来はあるか?【国際金融アナリストが分析】

4/19~4/25の「FX投資戦略ポイント」

1ドル135円「超円安時代」の再来はあるか?【国際金融アナリストが分析】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル円は、2015年6月に記録した米ドル高値125.8円を更新したことで、およそ20年ぶりに一時126.7円程度まで上昇しました。これにより、米ドル円は135円を目指す局面に入ったという見方もあるなか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、ここまで米ドル高・円安のドライバーとなっていた米金利の上昇に一服感がみられる点を指摘します。今後の米ドル円はどのような動きをみせるのか、吉田氏の分析をみていきましょう。

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    FFレートの「最終着地点」…次回5月FOMC手掛かりに

    もうひとつの観点として、今回の米利上げ局面でのFFレートの最終的な着地点ということがあるでしょう。

     

    たとえば、前回の米利上げ局面でのFFレートのピークは2.5%でした。FOMC(米連邦公開市場委員会)のなかでは、景気に対して中立的なFFレートについて、2.5%を少し下回る水準との見方が基本とされます。

     

    つまり、2.5%以上にFFレートを引き上げるのは、インフレ対策の観点から景気を減速させるといった意味になるでしょう。以上のように見ると、米政策金利の2.5%といった水準は、重要な分岐点の可能性がありそうです。

     

    最近のFOMC関係者などの発言から、物価上昇に歯止めをかけるべく、景気を減速させるまで金利を上げるとの考え方も出てきた印象はあります。

     

    それにしても、米2年債利回りの上値は、FFレートの引き上げが2.5%程度までなのか、それとも3%を大きく上回る可能性があるかによってまったく違ったものになるでしょう。

     

    FFレート引き上げが2.5%までなら、経験的には金融政策を反映する米2年債利回りも2.5%を大きく超えない程度で上昇が一巡する可能性が高いでしょう。そうではなくて、FFレートが3%以上に引き上げられる見通しが高まるなら、米2年債利回りもそれを先取りする形で3%以上へ一段と上昇する可能性が出てくるでしょう。

     

    そんなFFレートの最終着地点について、次回5月FOMCなどを手掛かりに見極めることになるのではないでしょうか。

     

    米2年債利回りは90日MA(移動平均線)かい離率が一時100%に達するなど記録的な「上がり過ぎ」の状況が続きました(図表5参照)。

     

    先週のCPI(消費者物価指数)発表などで、当面のインフレ指標発表のヤマ場を越えたことで、次回FOMCまでの間は、「上がり過ぎ」修正が入りやすい可能性も考えられます。

     

    (出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表5]米2年債利回りの90日MAかい離率(2010年~) (出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)

     

    長々と米金利について述べてきたのは、急加速となっている米ドル高・円安も、基本的には米金利上昇の影響が大きかったためです。これまで見てきたように、そんな米金利が次回5月FOMCまで上昇一服となるかは、「怒涛の米ドル高・円安」が一息つくかが最大の焦点ではないでしょうか。

     

    最後に、米ドル/円のポジション状況も確認してみましょう。

     

    CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションを見ると、最近にかけての急速な円安のなかで、円の売り越しも10万枚以上に急拡大しました(図表6参照)。

     

    徐々に円の「売られ過ぎ」懸念が強まっていると言えそうなので、これまで見てきた米金利の動向などによっては、円売りが一服する可能性もあるのではないでしょうか。
     

    (出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表6]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2015年~) (出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)


     

    吉田恒

    マネックス証券

    チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

     

    ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

     

     

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