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FFレートの「最終着地点」…次回5月FOMC手掛かりに
もうひとつの観点として、今回の米利上げ局面でのFFレートの最終的な着地点ということがあるでしょう。
たとえば、前回の米利上げ局面でのFFレートのピークは2.5%でした。FOMC(米連邦公開市場委員会)のなかでは、景気に対して中立的なFFレートについて、2.5%を少し下回る水準との見方が基本とされます。
つまり、2.5%以上にFFレートを引き上げるのは、インフレ対策の観点から景気を減速させるといった意味になるでしょう。以上のように見ると、米政策金利の2.5%といった水準は、重要な分岐点の可能性がありそうです。
最近のFOMC関係者などの発言から、物価上昇に歯止めをかけるべく、景気を減速させるまで金利を上げるとの考え方も出てきた印象はあります。
それにしても、米2年債利回りの上値は、FFレートの引き上げが2.5%程度までなのか、それとも3%を大きく上回る可能性があるかによってまったく違ったものになるでしょう。
FFレート引き上げが2.5%までなら、経験的には金融政策を反映する米2年債利回りも2.5%を大きく超えない程度で上昇が一巡する可能性が高いでしょう。そうではなくて、FFレートが3%以上に引き上げられる見通しが高まるなら、米2年債利回りもそれを先取りする形で3%以上へ一段と上昇する可能性が出てくるでしょう。
そんなFFレートの最終着地点について、次回5月FOMCなどを手掛かりに見極めることになるのではないでしょうか。
米2年債利回りは90日MA(移動平均線)かい離率が一時100%に達するなど記録的な「上がり過ぎ」の状況が続きました(図表5参照)。
先週のCPI(消費者物価指数)発表などで、当面のインフレ指標発表のヤマ場を越えたことで、次回FOMCまでの間は、「上がり過ぎ」修正が入りやすい可能性も考えられます。
長々と米金利について述べてきたのは、急加速となっている米ドル高・円安も、基本的には米金利上昇の影響が大きかったためです。これまで見てきたように、そんな米金利が次回5月FOMCまで上昇一服となるかは、「怒涛の米ドル高・円安」が一息つくかが最大の焦点ではないでしょうか。
最後に、米ドル/円のポジション状況も確認してみましょう。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションを見ると、最近にかけての急速な円安のなかで、円の売り越しも10万枚以上に急拡大しました(図表6参照)。
徐々に円の「売られ過ぎ」懸念が強まっていると言えそうなので、これまで見てきた米金利の動向などによっては、円売りが一服する可能性もあるのではないでしょうか。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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