インフレ時代の到来?「最近の物価上昇」の要因とは【専門家が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するマーケットレポートを転載したものです。

 

<今日のキーワード>

最近、身の回りで様々な値上げが相次いでいます。ガソリン価格をはじめ、小麦粉やパスタといった身近な食品や、東京メトロでの28年ぶりの運賃値上げ(来春)など、幅広い分野で物価上昇=「インフレ」となっています。これまで日本では、物価のあまり上がらない時期が続いてきましたが、ここにきて「インフレ」時代の到来となるのでしょうか? 今回は最近の物価上昇の要因から詳しく見ていきましょう。

最近の物価上昇はコロナ禍とウクライナ危機による燃料・原材料価格の上昇が主因

■日本の消費者物価指数(生鮮食品除く総合)は、最新2月が前年同月比+0.6%と7ヵ月連続の上昇となりました。ここ数年の物価動向を見ると、消費税が8%に引き上げられた2014年には増税の影響から同+2%超となっていましたが、その影響が剥落してからは+1%以下、もしくはマイナスで推移していました。

 

 

■最近の値上げの要因としては、コロナ禍での供給制約や経済の再開に伴う需要増加による、原材料価格の上昇が挙げられます。さらに、今年に入ってからはウクライナ情勢の緊迫化に伴い、ロシアが主要輸出国となっている原油や天然ガス、小麦をはじめとする穀物などの商品価格が上昇し、燃料や原材料価格が上昇していることも影響しています。

円安も輸入コストの増加に影響

■日本が輸入に依存している原材料や商品価格の上昇は、円安によって影響が増幅されています。例えば、円ドル為替レートは今年3月以降急速な円安となっており、今年のそれまでの115円付近の水準から、足元では一時126円超となりました。この円安によって、円建ての輸入コストは約9%上昇する計算になります。

 

 

■円安の進行は、主に内外の金融政策の方向性の違いから来ています。例えば米欧では、景気の好調さに加えて、歴史的な高水準で「インフレ」が続いていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和の縮小を迅速に進め、直近3月からは利上げを開始しました。欧州中央銀行(ECB)も量的緩和の縮小と終了の目途を示しており、年後半にも利上げに転じると見られています。一方日銀は、大規模な金融緩和を継続する姿勢を示しています。日銀は2%の「物価安定の目標」を掲げており、足元で消費者物価指数は上昇しているものの、日銀のこの目標にはまだ至らず、当面は現在の金融緩和が継続される見込みです。

 

■円安が進行しているもう一つの要因として、貿易収支の悪化が挙げられます。日本は原油や天然ガスなどのエネルギーや、多くの原材料を輸入に頼っていることから、円安によって輸入コストが増加すると、貿易収支が悪化してしまいます。貿易収支の悪化により、円買い需要が低下するため、円安となります。こうして、足元の円安は貿易収支の悪化を通じて、さらに円安を生む様相となっています。

 

エネルギー価格は高止まりか…当面「インフレ」が続く見通し

■12日に発表された3月の国内企業物価指数は前年同月比+9.5%となり、2021年3月以降、上昇傾向が続いています。特に今年に入ってからは9%台が続いており、第二次オイルショックの影響が残っていた1980年12月以来の歴史的な水準となっています。冒頭で挙げた中でも、ウクライナ情勢に伴って商品価格が急速に上昇したことが、足元の企業物価の上昇に拍車をかけたと言えそうです。

 

 

■ウクライナ情勢は未だ不透明感が強く、原油や天然ガスなどの価格は当面高止まりそうです。これまでロシアから原油などを輸入していた国は、エネルギーの供給元をロシアから他国へと転換を進めていく見込みですが、産油国は投資不足や生産設備の問題から一部で生産が停滞している国もあり、増産余力はあまりないとの見方もあります。足元で国際エネルギー機関(IEA)加盟国による石油備蓄の放出が発表されていますが、需給のバランスは引き締まった状況が続きそうです。さらに、地球温暖化対策やSDGs(持続可能な開発目標)達成のために、世界的に「カーボンニュートラル」と言われる脱炭素の動きが急速に進んでおり、原油生産は縮小する方向と考えられます。

 

■弊社ではこうしたエネルギー価格の高止まりなどから、「インフレ」は当面続くと見込んでおり、年内は1%台後半で推移すると見ています。これまで日本では物価があまり上昇しない期間が長かったものの、これからは「インフレ」と向き合う時代となりそうです。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インフレ時代の到来?「最近の物価上昇」の要因とは【専門家が解説】』を参照)。

 

関連マーケットレポート

2022年3月30日 円が一時125円台に急落、円安が加速

2022年3月23日 上昇基調が続く日本の消費者物価指数

 

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【今日のキーワード】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ