プライバシーマーク取得を目指す事業者は幅広く…
プライバシーマーク付与事業者数は、制度開始以来、一貫して増加しています。
2021年9月末現在でプライバシーマークを付与された事業者は、1万6772となっています。2005年、2006年と、2年続けて大きく付与事業者数が増えているのは、2005年に全面施行となった個人情報保護法を受けたものでした(図表)。
取得事業者はIT関連企業、人材派遣業などが多くを占めていますが、具体的には次のような業種で取得を目指す事業者が多くなっています。
●IT関連企業(クラウド/システムエンジニアリングサービス/受託開発)
●人材派遣業(一部人材紹介業含む)
●広告業
●印刷業
●クリニック(特に人間ドックや健康診断)
●不動産業(売買、デベロッパー系)
●データ入力業/軽作業
●物流/運送業
●DM発送業(ダイレクトメール発送)
●EC業(通販事業者)
●産業廃棄物処理業
●ビルメンテナンス業
●ホームページ/動画制作業
●キャンペーン事務局
●保険代理店(ファイナンシャルプランナー業含む)
●ロードサービス業(レッカー業)
このほかにも個人情報をビジネスで活用するケースは業界を越えて大きく広がっており、それに伴って最近は取得事業者の幅も広がっています。
取得事業者数は、ここ数年でもマイナンバー制度の本格運用の開始(2015年)、個人情報保護法の改正(2020年、2021年)、デジタル社会形成基本法の制定(2021年)といった行政の動きを受けて一貫して右肩上がりで増えている状況です。また、最近ではコロナ禍の影響もありリモート化が一気に進み、在宅勤務をしている取引先にプライバシー体制を確認する動きが増えているのも増加要因の一つです。
申請を受け付けてからプライバシーマークの付与まで一般的には7カ月から1年程度が必要になることから、まだ付与事業者数として反映されていませんが、個人情報保護に向けた社会の大きな流れを受けて申請数は最近になって大きく増加しており、それに伴って審査日数も従来に比べ長くなっています。今後、プライバシーマークを取得する事業者は確実に増えていくとみられています。
こうした動きの一方で、プライバシーマークの制度そのものに懐疑的な声が上がったことがありました。
4年ほど前のことですが、ある週刊誌にこんな趣旨の記事が出たのです。
“JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会、プライバシーマーク制度を運営する法人)は旧通商産業省の外郭団体として設立されたもので、歴代会長や理事は元官僚ばかりで天下り先になっている。その団体が承認・発行するプライバシーマークを官公庁が入札条件にするのは霞が関のお手盛りではないか“
JIPDECの会長や理事職に就く人がその能力や経験に関係なくただ都合のよい腰掛け先として利用しているなら天下りといわれても仕方がないかもしれません。ここではその当否はおきますが、実際にプライバシーマークが経済や産業に関わる行政の中心で生まれ、運用されているのはこの記事も指摘するように事実なのです。
そうであるとすれば、逆にプライバシーマークをもっていることが官公庁案件の入札や大企業からの受注獲得に有利であることは明らかです。行政が一体となってその方向に産業界を誘導しているからです。このことは天下り云々の話とは別にして冷静にみておく必要があると思います。
仲手川 啓
株式会社ユーピーエフ 代表取締役
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