(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者の都合や、台風などのやむを得ない事情などにより、従業員がシフトより早く終業しなければならなくなった場合、賃金はいくら支払われるべきなのでしょうか? 医療機関を専門とする社労士が、医院を例にして解説します。医療系のみならず、他業種の場合にも参考になる内容です。

どんな休業が「使用者の責に帰すべき事由」に該当?

使用者の責に帰すべき事由による休業かどうかは、休業手当を支払うポイントの一つです。

 

休業が不可抗⼒によるものである場合は、使⽤者の責に帰すべき事由に当たらないため、休業手当を支払う必要はありません。

 

ここでいう不可抗⼒とは、以下のケースを両方とも満たした場合になります。

 

①その原因が事業の外部より発生した事故であること

②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること

 

■「使用者の責に帰すべき事由による休業」になるケース、ならないケース

以下のケースは、使用者の責に帰すべき事由による休業と判断される可能性があります。

 

<「使用者の責に帰すべき事由による休業」と判断される可能性がある項目>

●機械や設備の故障、不備、欠陥や検査による休業

●原材料の不足などによる休業

●経営不振による休業

●使用者の故意または過失による休業

●資金調達が困難なための休業

●従業員が不足しているための休業

●親会社の経営不振による休業

●交通機関が止まる恐れがあったためなど、医院の命令による休業

 

一方、以下のケースは、使用者の責に帰すべき事由にならないと判断される可能性が高いです。

 

<使用者の責に帰すべき事由に「ならない」と判断される可能性が高い項目>

●地震や台風などの天変地異で、業務を継続することが困難な場合の休業

●新型コロナウイルスに感染したまたは濃厚接触となった従業員の休業

●労働安全衛生法による健康診断など、法律を遵守することにより発生した休業

●従業員のストライキによる休業

●正当なロックアウトによる休業

まとめ

診察を予定より早く終了して医院を閉めたことが、院長の責に帰すべき事由がある場合は、休業手当を支払わなければなりません。

 

但し、どのようなケースが院長の責に帰すべき事由なのかは、判断が難しい場合もあります。

 

休業手当を従業員に支払うべきなのか判断が難しい場合は、是非一度、プロである社会保険労務士にお気軽にお問い合わせください。

 

 

柴垣 和也

社会保険労務士法人クラシコ 代表

社会保険労務士

 

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