今回は、物件を購入するにあたって必要となるお金の話です。ローンの組み方、残債の一括返済、現金で購入した場合の収支について見ていきます。

「購入時」「毎月」「毎年」の費用を確認

物件情報をあたって、現地を見学し、投資に適した良い物件が見つかったとします。そうしたら、次は「物件を買うのにいくらかかるか」を確認しましょう。

 

マンション購入の費用は、「購入時にかかる費用」「毎月かかる費用」「毎年かかる費用」の3つに分けることができます。「購入時にかかる費用」は、登記費用、ローン事務手数料などの諸費用と不動産取得税。「毎月かかる費用」は月々のローンの支払いと賃貸管理手数料、管理費、修繕費など。「毎年かかる費用」は固定資産税と都市計画税です。

 

これらの費用は物件によって異なりますので、目安となるように典型的な東京のワンルームデザイナーズマンションを例にとって説明します。物件は「PREMIUM CUBE 田町301号室」。JR田町駅から徒歩8分の物件で、部屋の専有面積は21.31㎡です。

 

価格は2330万円で、募集家賃は9万6000円。この物件を頭金ゼロで購入する場合、登記費用、ローン事務手数料などを合わせると購入時にかかる諸費用は約135万円で不動産取得税が約15万円。ローンの組み方にもよりますが、ローンの頭金をゼロにすると購入時にかかる費用はこれだけです。

 

それでは、「毎月かかる費用」はどれくらいになるでしょうか。

 

最近のワンルームデザイナーズマンション投資では、サブリース契約が一般的になっています。このサブリース費が9600円。管理・修繕費が8510円、家賃振込手数料が420円。そして、ローンの支払いが8万9345円。これは35年払い、金利2.975%での計算で、ボーナス払いは0円です。

 

これらを合計すると10万7875円になります。毎月これだけの費用がかかりますが、家賃は自分の収入ですから、10万7875円から9万6000円を引いた1万1875円が実質的な毎月の支出です。

 

計算式にすると、「家賃収入-(ローン支払い+サブリース費+管理費+修繕費+家賃振込手数料)=毎月の収支」です。ローン返済後の収支は、計算式から「ローン支払い」をのぞきます。費用が35年後も変わらないとすると、この例では、毎月7万7470円がローン返済後の定期的な収入となります。

 

そして、固定資産税と都市計画税が「毎年かかる費用」です。税率は「PREMIUM CUBE 田町 301号室」の場合、固定資産税と都市計画税を合わせて約9万円。これが、物件を購入するとかかる費用の概要です。

投資用住宅ローンは「変動金利」が基本

投資用マンションの購入でローンを組むときは、マンションの販売会社が斡旋する金融機関で組むのが一般的です。自分で金融機関を探してローンを組むことも可能ですが、その場合より手続きなどがよりスムーズになります。

 

金利は金融機関によって違いますし、借り手の属性によっても異なります。現在は3%前後が目安。仮に頭金なしで2500万円を35年ローンで借りた場合、月々の支払額は10万円ほどになります。

 

そして現在の投資用住宅ローンでは、金利は「変動金利」が基本です。変動金利では、市場金利の動きに合わせてローンの金利が変わります。金利が低いときには少ない支払額で済みますが、金利が上昇した場合には支払額が増えることになります。変動金利により、ローンの支払い額は一定ではないことを覚えておきましょう。

高い投資効果が得られる残債の一括返済

ローンの残りを一括して払う「残債の一括返済」には大きな投資効果があります。

 

たとえば、41歳のときに価格2330万円の「PREMIUM CUBE 田町 301号室」を購入したとしましょう。全額ローンを利用し、ローン期間は35年としました。金利を2.975%とすると、24年でローン残高が1004万7555円になります。そしてこのときには65歳で定年を迎えていますから、退職金でこの残債を一括返済するのです。

 

残債を返済したため、以降は家賃収入からサブリース費、管理費・修繕費、家賃振込手数料を引いた額がそのまま収入になります。このケースの場合、毎月の収入は7万7470円と想定されます。1年では92万9640円ですから、92万9640円÷1004万7555円=0.0925となり、1005万円弱の支出で年利9.25%という高い投資効果が得られると考えられるのです。

 

退職時のローン残高を想定し、退職金で一括返済するとどれくらいの年利効果があるか、計算してみてください。計算式は「マンション投資による年間収入÷一括返済額×100」です。

現金でのマンション購入は累計収支で考える

ローンを組まず現金でマンションを購入した場合、収支はどうなるでしょうか。投資を始めた時点からの累計収支で考えてみましょう。

 

現金でマンションを購入するとローンの支払いがないため、家賃収入からサブリース費、管理費・修繕費、家賃振込手数料を引いた額が投資を始めた月から入ります。たとえば、価格2330万円の「PREMIUM CUBE 田町 301号室」を現金で購入したとします。購入した時点では、累計収支はマイナス2330万円。しかし、家賃収入9万6000円からサブリース費などを引いた7万7470円が毎月の手取り収入となります。年間で92万9640円の手取り収入です。

 

そうすると、最初の投資資金2330万円は26年目の最初の月で回収できます。ここで、累計収支がプラスに転じます。この時点で売却すれば、売却益が累計収支に上乗せされます。売却しなければ、以降、毎年92万9640円が累計収支に加わります。

 

また、最初の投資資金は累計収支がプラスになる前でも回収可能です。同じ物件で購入から15年経ったとき、累計収支は935万5400円のマイナスです。しかし売却すれば、売却価格が購入価格の半値になっていたとしても229万4600円の収益になるのです。

本連載は、2010年9月24日刊行の書籍『デザイナーズマンション+3つの条件で成功する不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

デザイナーズマンション +3つの条件で 成功する不動産投資

デザイナーズマンション +3つの条件で 成功する不動産投資

川田 秀樹

幻冬舎メディアコンサルティング

将来の年金不安を解消するため、不動産投資による資産運用に注目が集まっています。 本書は株や定期預金、国債などのあらゆる資産運用のなかで、不動産投資がいかに有効かをリスクとリターンの観点から、初心者にもわかりやす…

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