記事前編では、「日本で住宅の断熱性能が軽視され続けてきた背景」について解説してきました。後編では、今後予想される「住宅性能の制度改革」と、これから家を建てる人へのアドバイスについて、住まいるサポート株式会社代表取締役・高橋彰氏と東京大学大学院准教授・前真之氏がインタビュー形式で解説していきます。
断熱性能の「第三者認証」取得する方法はある?
なお、前先生が携わっている暮らし創造研究会のホームページには、新築向け(心地よい住まいの暖房計画)・改修向け(健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本)について、豊富な資料(無料のPDFと動画)が公開されています。ぜひ、参考にしてみてください(https://kurashisozo.jp/effort/index.html)。
◇これからの新築は断熱性能の第三者認証を取得しておくことが資産価値維持のポイントに
今後、我が国の住宅の断熱性能は急激に向上していくことが予想されます。等級6・7が制度化される前に建てる方も、少なくても等級6相当(HEAT20のG2レベル)の性能を確保しておくことをおすすめします。
そして、高断熱の性能を確保していることを第三者の認証を取得し、キチンと証明できるようにしておくことが、将来の資産価値維持につながります。
具体的には、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の取得が有効です。BELSにはUA値の記載欄がありますので、G2レベルならばG2レベルの性能があることを証明することができます([画像2]参照)。
まさにこれから高気密・高断熱住宅を建てようとしている方は、工務店等に相談することをおすすめします。
前編『「冬は寒くても仕方がない」…日本で「住宅の断熱性能」が軽視されてきた残念な理由』
高橋 彰
住まいるサポート株式会社 代表取締役
前 真之
東京大学大学院 工学系研究科建築学専攻 准教授
住まいるサポート株式会社 代表取締役
一般社団法人日本エネルギーパス協会 広報室長
神奈川県出身。東京大学修士課程(木造建築コース)修了、同大博士課程在学中。千葉大学工学部建築工学科卒。リクルートビル事業部、UG都市建築、三和総合研究所、日本ERIなどで都市計画コンサルティングや省エネ住宅に関する制度設計等に携わった後、2018年に「結露のない健康・快適な住まいづくり」のサポートを行っている住まいるサポート株式会社を起業。日本でトップクラスの性能を誇る工務店・ハウスメーカーを厳選して提携し、消費者に無料で紹介する「高性能な住まいの相談室」や、デザインと高性能を両立する設計を行う建築家のマッチングサービス等を提供。また、横浜市住宅政策課主催のセミナーや毎日新聞社主催のセミナー等、多数のセミナーに登壇、メディアへの出演など、高性能な住まいづくりに関する情報発信に積極的に取り組んでいる。住まいづくりを考えている方々への情報発信を通して、ひとりでも多くの方が、住宅の性能に関する基礎知識を持ち、他の先進国並みに「結露のない健康・快適な家」を普及させることを目標としている。主な著書に、「元気で賢い子どもが育つ! 病気にならない家」(クローバー出版)、「人生の質を向上させるデザイン性×高性能の住まい: 建築家と創る高気密・高断熱住宅」(ゴマブックス)など。
●高性能な住まいの相談室:https://sml-support.com/lp
●建築家と創る高気密・高断熱住宅:https://sml-support.com/archicon
著者プロフィール詳細
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連載人生の質(QOL)が激変!性能にこだわった住まいづくりの知識
東京大学大学院 工学系研究科建築学専攻 准教授
昭和50年生まれ。広島県出身。
住宅のエネルギー消費全般を研究テーマに、建築物省エネ法における住宅の給湯・コジェネ設備の実態に即した1次エネ評価手法の開発に関わる。
現在は、健康・快適な生活を太陽エネルギーで実現するエコハウスの実現と普及のための要素技術・設計手法の開発に取り組んでいる。
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