コロナ禍で以前のような働き方ができなくなり、手に職をつけようと資格取得を目指している方も少なくありません。そんななか、14の鍼灸整骨院を展開し、年間19万人もの施術を行う株式会社NOMOKOTSU代表の野本一也氏は「数多く存在するように見える鍼灸・整骨業界への就職は、実は容易なことではない」といいます。本記事では、野本氏が「鍼灸・整骨業界のいま」を語ります。

生き残りに必要不可欠…「マーケティング力」の重要性

ブルーオーシャンの時代には無愛想でも、立地が悪くとも、保険治療だけしか扱わなくとも、腕さえ良ければ患者が列を成してやって来ました。その成功体験のおかげか、「自分の仕事は治すこと。患者は黙って言うことを聞いていればいい」という職人気質の施術家がいまだに多くいるようです。

 

妥協せずに技術を追い求めるという点では、職人気質であることはむしろ美徳といえますが、現在では施術の腕だけで成績を上げ、治療院を繁盛させることは、ほぼできなくなっています。経営的な視点でいうと、レッドオーシャンの市場に飛び込むなら絶対的に必要なのが、マーケティングです。

 

筆者の感覚では地域密着型のビジネスである治療院の商圏は、都市部なら半径500メートル、地方では半径3キロから5キロメートル程度です。

 

自分が出店を検討しているその地域に、ライバルは何軒あり、トップシェアを誇っているのはどこか、どんなサービスが人気を博しているか、メインとなる患者層は何歳くらいで、男女比はどれくらいかなどを徹底的に研究したうえで、その分析に沿った店舗を作り、地域の人々が求めるサービスを展開していかねばなりません。

 

マーケティングに力を入れたとしても、トップシェアを獲得するには不十分です。すでに地域に根づいているライバルたちと差別化を行い、自院ならではの技術やサービスをアピールすることも求められます。

 

そのほかに、人材の質やホスピタリティ、自費診療の価格といったさまざまな要素をどれだけ充実させ、顧客満足につなげることができるかで、売上は大きく変わってきます。「腕がいい」というのは大切なことですが、あくまで一要素に過ぎず、もはやそれだけで繁盛させられるほど甘くはないのです。

「技術力の高さだけで勝負したい」場合に重要なこと

仮に技術力の高さだけで勝負するなら、その魅力がほかのあらゆる要素を圧倒するほどのものでなければいけません。例えば、不治の病とされる病気の施術ができる人がいたなら、無愛想だろうが料金が高かろうが、全国から患者が押し寄せて来るはずです。現在はそれほどの圧倒的な腕がなければ、技術力だけで勝負するのは難しくなっています。

 

そのような図抜けた実力をもった施術家は、確かに存在します。そして実際に、自院を繁盛させています。ただ、私の感覚でいうと、その数は日本に数える程度しかいません。図抜けた才能の持ち主が、人の2倍、3倍努力してようやく達する境地であり、ほとんどの人はそうなれません。

 

したがって、最初から「技術力一本勝負」でいくつもりなら、よほどの覚悟をもってスペシャリストの道へと踏み出す必要があるのです。

 

 

野本 一也

株式会社NOMOKOTSU

代表

 

 

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    ※本連載は、野本一也氏による『鍼灸・整骨業界を目指すキミへ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    野本 一也

    幻冬舎メディアコンサルティング

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