(※写真はイメージです/PIXTA)

「前田利家は人件費をケチりすぎて謀反された」「樋口一葉は愛人手当で食いつないでいた」……作家・歴史エッセイストの堀江宏樹氏は著書『偉人の年収』(イースト・プレス)のなかで、偉人たちの生々しすぎるお金事情を暴露している。歴史書で読んだ「憧れのあの人」の裏側、本連載で一つずつ追っていこう。今回は福沢諭吉。

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『学問のすゝめ』で無双した福沢諭吉

昭和59年(1984年)から1万円札の〝顔〞だった福沢諭吉。日本近代を代表する啓蒙思想家であり、慶應義塾大学の設立者としても有名な人物ですが、『学問のすゝめ』が歴史的なヒットを記録し、凄まじい富豪になっていたことはご存じでしょうか。

 

●『学問のすゝめ』累計340万部のヒット

『学問のすゝめ』は全17編で構成されており、明治5年(1872年)から明治9年(1876年)まで、段階的に刊行されていきました。

 

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」の冒頭が有名な『学問のすゝめ』ですが、オリジナルでは「人の下に人を造らず云へり」。「『すべての人間は平等だ』といわれてはいるが、本当は違いがある。それは学問をする優れた人と、学問をしない愚か者だ」というのが福沢の真の趣旨であり、向上心が強い明治人たちの心を掴んで歴史的なベストセラーとなりました。

 

「毎編凡そ二十万とするも十七編合して三百四十万冊」は売れたと、福沢は証言しています。この340万冊の売り上げは、どれほどのものだったのでしょうか?

 

『学問のすゝめ』の価格は、1編あたり3銭3里(1銭=10里)。当時の1銭=現代の200円とすると、1編が660円です。販売部数が340万冊だとすると、なんと現代の22億4,400万円にもなります。

 

さらに、既刊の全17編をまとめて装丁した愛蔵用の「合本」も発売されました。これが「定価七十五銭」。現在、文庫本では1冊1,000円もしない『学問のすゝめ』ですが、明治の価格では1万5,000円……。合本版も多くの読者が買ってくれたのではないかと考えられるので、最終的には22億円の売り上げに、何億円分もプラスされていたとしてもおかしくはないでしょう。

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偉人の年収

偉人の年収

堀江 宏樹

イースト・プレス

・新選組の月給 ・戦国武将の金銭トラブル ・渋沢栄一の年収変遷 ・ピカソ家の遺産相続 ・シェイクスピアの秘密の副業etc. 偉人たちの金銭事情を、現代日本円に換算して生々しく紹介。 良識ある研究者は手を出したがら…

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