※写真はイメージです/PIXTA

中国が毎年末に開催する中央経済工作会議は翌年の経済運営の基本方針を討議し、経済面では中国内外で最も注目されている会議だ。2021年12月に開催された同会議前後の動きから、当局の中国経済に対する現状認識と政治動向に関する様々な手がかりを探る。

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強調される「穏」の文字は、厳しい現状認識の証左

工作会議公報は「安定(穏)」の文字に25回言及。中国経済が需要不足、供給ショック、弱い予測期待(預期)の三重圧力に直面しているとし、2022年の経済運営は「六穏(就業、金融、貿易、外資、投資、預期の安定)」、「六保(就業、民生、市場主体、食糧・エネルギー、産業・サプライチェーン、末端組織運営の安定確保)」、「穏字当頭、穏中求進」、つまり安定を最重要としそのなかで進歩を求めるとし、積極財政政策と穏健な金融政策の継続、各地区・部門に安定に資する政策を積極的に採るよう指示。

 

(注:出所)工作会議のキーワードは「穏」とし、公報の「六穏」「六保」「穏字当头(頭)、穏中求进(進)」「堅持先立后(後)破、穏扎穏打」等の文言(文中参照)を紹介する地元誌(2021年12月13日付光明網)。
(注:出所)工作会議のキーワードは「穏」とし、公報の「六穏」「六保」「穏字当头(頭)、穏中求进(進)」「堅持先立后(後)破、穏扎穏打」等の文言(文中参照)を紹介する地元誌(2021年12月13日付光明網)。

「穏」の異例の強調は、裏を返せば、それだけ当局が現状は「不穏」と認識しているということだ。

 

幹部が経済の現状や見通しに関し意見の相違を公にすることは政治紀律面ほど微妙ではないのか、論客で知られる楼継偉元財政部長(大臣)が工作会議直後のフォーラムで「三重圧力と言うが、統計はそうなっていない」と公式統計の欠陥に言及したが、国家統計局長は「統計操作の問題は2018年に解決済みで過去の話」と反論。

 

しかしその後、中共中央・国務院弁公庁は各省市区と国務院関係部門が原則5年毎に統計の通常監察を行い、統計操作など特に問題がある場合は専門監察を行うとした統計監督職能に関する意見発出。国家統計局は年末の統計工作会議で22年統計業務の重点任務の1つとして統計モニター強化を掲げた。また2022年1月、国家統計局幹部も出席した中央紀律検査委員会では、統計ねつ造を防止し厳しく取り締まることがうたわれた。

統計から確認できる「三重圧力」

ただ、統計局が記者会見でも説明しているように、三重圧力は統計から確認できる。

 

成長率は第1〜4四半期、18.3%、7.9%、4.9%、4.0%と傾向的に鈍化。需要面では消費小売販売額が21年初の2桁伸びから年後半1桁伸びに鈍化(前年比3月17.7%増→12月1.7%増)。都市部固定資産投資や不動産投資も鈍化(各々前年比1〜3月25.6%増→通年4.9%増、同25.6%→4.4%)。供給面では一次産品国際価格上昇に伴い工業生産者出荷価格指数(PPI)が急上昇(年初前年同月比1%台→年後半10%以上)。エネルギー・金属供給が逼迫し、自動車産業が半導体不足の影響を受けている。

 

期待面では製造業購買経理指数(PMI)が4月以降低下。全体では9、10月、小企業は5月〜2022年1月9ヵ月連続景気判断の分かれ目の50を切った。非製造PMIは新型コロナの影響で激しく変動する中、基調として低下(4月〜2022年1月47.5〜54.9)。

 

(出所)中国国家統計局
[図表1]四半期成長率(前年同期比) (出所)中国国家統計局

 

(注)1月の数値は旧正月の関係で、2月に合わせて発表されている。 (出所)中国国家統計局
[図表2]社会消費品小売販売額前年比伸び(%) (注)1月の数値は旧正月の関係で、2月に合わせて発表されている。
(出所)中国国家統計局

 

(注)各月の数値は当該年初からの累計値。1月の数値は旧正月の関係で、2月に合わせて発表されている。 (出所)中国国家統計局
[図表3]不動産開発投資推移 (注)各月の数値は当該年初からの累計値。1月の数値は旧正月の関係で、2月に合わせて発表されている。
(出所)中国国家統計局

 

(出所)中国国家統計局
[図表4]PPI前年同月比(%) (出所)中国国家統計局

 

(出所)中国国家統計局、財新(中国地元経済メディア)
[図表5]PMIの推移 (出所)中国国家統計局、財新(中国地元経済メディア)

 

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