(※写真はイメージです/PIXTA)

50代サラリーマンで「私に合った仕事」がいま就いている仕事と合致していて、仕事に満足している人は天職に就いているといえます。しかし、合致せず、むしろかけ離れている人はすでに「中年の危機」を迎えているかもしれません。そういう人はどうすればいいのでしょうか。久恒啓一氏が著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)で解説します。

適職についていないという「中年の危機」

■「WHAT/WHERE/HOW」で仕事を選択する

 

職種(WHAT)は、前述のとおり、経営資源のうち、どの資源にかかわりのある分野の仕事をしたいのかによって左右されます。ヒトに関心があるのか、モノに興味があるのか、カネの問題をきわめようと思うか、情報により価値を生み出したいのか。

 

業種(WHERE)は、いわゆる業界です。電機、自動車、IT、観光、飲食、小売・流通、衣料品、農林水産、福祉・介護、教育、医療、住宅……等々、「△△業界」といわれるものにとどまらず、地域再生、まちづくり、六次産業など、複合的な事業も含まれるでしょう。

 

2つのHOWのうち、HOWは仕事の内容を、HOW MUCHは経済的な待遇など仕事の条件を意味します。

 

これらについても、図1「自分像シート」の該当する欄に、記入してみましょう。

 

図1「自分像シート」が完成したら、人生鳥観図(図4)の「人生テーマの発掘」のパートを、再度なぞってみましょう。

 

【図4】人生鳥観図

 

「生い立ち」「出会い」「出来事」から「価値観」を抽出しましたが、これは現在の自分がいかに形成されてきたかの振り返りです。

 

父親の思想や行動原理、「人間にとって大事なことは何か」と語った言葉、あるいは、母親の生き方や口癖などに、自分はいまも影響を受けていると感じる人もいるでしょう。

 

尊敬する恩師、職場で出会った優れた上司、何かと面倒を見てもらった先輩、長く付き合ってきた心許せる畏友……それらの人たちの影響も大きくかかわっていると感じることもあるでしょう。

 

また、悲喜こもごもの出来事も数々あったはずです。

 

多くの人たちの薫陶や影響を受けながら、数々の出来事を経験しながら、どんな仕事が自分に合っているのか、職業選択に自分なりの判断をしながら、長い道のりを歩いてきたことでしょう。

 

その道のりを、人生鳥瞰図を使って構造的に理解する。それが、人生の棚卸しです。

 

そして、5W2Hで導き出した「私に合った仕事」がいま就いている仕事と合致している人は、仕事をしながら、日々、次のように感じているはずです。

 

「仕事に就いているときに、自己の能力を最大限に発揮できている。仕事をするたびに自己が大きくなっていく実感を得ることができる。そしてそのことが自己を磨き上げていくプロセスにつながっている。満足できる報酬も得ており、家族の幸福にも寄与できている。そして、自分の属す組織の活性化にも役立っていると確信があり、その組織を通じて、地域、社会への貢献ができている」

 

もし、このように感じていたら理想的な状態で、あなたは天職に就いているといえます。

 

また、いまの仕事から別の仕事に転じようと考え、すでに転職先や転身先の候補が絞られていて、それが5W2Hで導き出した「私に合った仕事」と合致したら、あなたの判断は正しいことになるでしょう。

 

そして、その転職が「天職への道」につながるかどうかは、次回以降、人生鳥観図の「ライフデザインの構築」で確認できるはずです。

 

問題は、いま就いている仕事と5W2Hで導き出した「私に合った仕事」とが合致せず、むしろかけ離れている場合です。その場合、すでに「中年の危機」を迎えているかもしれません。

 

このままで壮年期に入っていくのか、それとも、壮年期に向けて、新たな人生戦略を立て、改めてライフデザインを描いてみるか。その意欲があり、踏み出す勇気と気概があれば、次回へと読み進んでください。

 

久恒 啓一
多摩大学名誉教授・宮城大学名誉教

 

 

※本連載は、久恒啓一氏の著書『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

50歳からの人生戦略は「図」で考える

50歳からの人生戦略は「図」で考える

久恒 啓一

プレジデント社

「人生鳥瞰図」で仕事も人生もうまくいく! 大人のためのキャリアデザインの教科書。 私は日本人の「アタマの革命(図解)」と「ココロの革命(遅咲きの人物伝)」の二つをライフワークとしている──。 こう語るのは、…

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