「金融商品を買ってみたけどよくわからない」「言われるがまま買ってみたけど、自分が投資した金額が大幅に下がってしまった」…。投資には不安がつきものです。資産運用において、投資信託はいまや避けては通れないお投資商品です。独立系FPである福田由美氏の著書『ていねい図解!初心者のための投資信託教本』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集し、「投資信託とは何か」をわかりやすく解説をします。
投資信託を始めた人が直面する「代表的なコスト」3つ【FPが解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

運用資産の大きさが良し悪しを決める

(2)リターン&リスク

 

①リターンとは

投資の結果、投資信託から得られる収益のことを指します。リターンが高いことを、パフォーマンスがいいとも言います。

 

②リスクとは

投資においては、「結果が不確実であること」を意味し、リターンのばらつきのことを指します。価格、金利、為替、信用などの変動によって、リターンが上下に揺れるその差がリスクです。

 

リスクとリターンは、表裏一体の関係にあります。高いリターンを狙えばその分リスクも高くなりがちです。「ハイリターン・ハイリスク」「ローリターン・ローリスク」というのはここからきています。

 

 

(3)シャープレシオ

リスクに対してどれだけのリターンを得たかを表す代表的な指標のことです。複数の投資信託を比べる際に、同じリスクをとった場合、どちらのリターンが高かったかを見ることができます。より高いシャープレシオの投資信託の方が優秀ということになります。

 

 

因みに、シャープレシオは、異なるリスクの大きさの商品を比べることはナンセンスです。株式と公社債などで比較するのではなく、株式なら同じ株式同士で比較する際に使用します。

 

(4)運用資産の大きさと推移(資金の流入・流出)

投資信託の運用資産というのは、純資産総額から費用を引いたもの、すなわち、運用に回せる金額です。純資産総額というのは、その投資信託全体の金額のその日の時価です。基本的には、基準価額×口数で計算をして算出された答えが純資産総額です。

 

基準価額がいくらかを気にするよりも、基準価額に口数をかけた全体の純資産金額の方が重要です。そして、その資金を管理してもらう訳ですから、当然費用はかかります。そういった費用を引いたものが、運用に回せる運用資産です。

 

概して、運用資産の大きさが投資信託の良し悪しにどのように関係するかというと、運用資金が安定して大きい方が、投資信託を安定的に運用できるため、好ましいわけです。大きい方がいいというのが原則で、小さいより大きい方がいいのですが、更に、資産量が安定している方が運用する側からいうとやりやすいです。資金が急激に増えたり、減ったりすると、投資信託としての運用に影響があります。

 

資金の流入・流出というのは、投資信託に入ってきた資金と出て行った資金の差引で、入ってきた資金の方が多ければ流入、出て行った資金の方が多ければ流出している局面です。流出が多ければ、ファンドマネージャーは意図しない時期に保持している株や債券を売却しなければならないかもしれません。

 

反対に、流入が必要以上に大きくても、ファンドマネージャーは運用上やっかいだったりします。一つの銘柄に多くの資金で投資することになるため、価格が上がってコスト高になってしまう可能性もあります。また、投資範囲に制限が出ることがあるのです。実は投資信託にはそれぞれ方針があり、例えば、「1銘柄にその会社全体の〇%以上投資しない」というルールがあると、必然的に時価総額がより大きな企業でないと投資できなくなるという訳です。

 

運用資産の大きさ、またその推移は、確認しておく必要があります。出て行く資金が大きいときには、何らかの背景や理由があると考えられます。資金の流出が長く続いている投資信託は、選択肢から外しておく方がいいでしょう。


福田 由美
独立系FP
財務アドバイザー

 

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