「金融商品を買ってみたけどよくわからない」「言われるがまま買ってみたけど、自分が投資した金額が大幅に下がってしまった」…。投資には不安がつきものです。資産運用において、投資信託はいまや避けては通れないお投資商品です。独立系FPである福田由美氏の著書『ていねい図解!初心者のための投資信託教本』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集し、「投資信託とは何か」をわかりやすく解説をします。
投資信託を始めた人が直面する「代表的なコスト」3つ【FPが解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

基本的にチェックすべき用語とは

特定の投資信託の「目論見書」や「運用報告書」を見るときに、基本的にチェックする用語は、以下の通りです。

 

(1)コスト(経費)

コストとは費用や経費と言う意味で、投資信託に関して使用する際には、その投資信託にかかる全般の費用のことを指します。投資信託は、証券会社、信託銀行、投資信託会社などのプロに企画、運用、管理、販売されているため、当然、それぞれの法人のサービスに対してお金を払います。また、実際にその投資信託を維持するためにかかっている経費も私たち購入者が負担します。

 

投資信託の種類や中身によって、その費用は変わりますが、例えば、色々な会社や国に分散投資されている投資信託には、様々な費用が掛かることは想像するに優しいと思います。自分で個人的に世界の株式を一つ一つ取引したら、相当資金が必要です。多くの資金を集めているからこそできることに対しての費用は必要です。

 

ただ、その費用が、その投資信託を持つことで得られるリターンに見合っているかどうかを確認することが大切です。

 

投資信託のコストには、特に次の3つがあると、一般的に説明されています。

 

■販売手数料

投資信託を購入する際に、販売会社に支払うコスト。販売手数料は、販売会社がある程度自由に決められるので、同じ投資信託でも購入する証券会社や銀行によって、異なる手数料割合であることがあります。販売会社側は、販売手数料以外にも信託報酬が得られる仕組みのため、販売手数料を取らずに販売してくれる投資信託もたくさんあります。販売手数料無料の投資信託を、ノーロード投信と呼びます。

 

■信託報酬

投資信託を管理・運用してもらうためのもので、投資信託を持っている期間ずっと差し引かれる費用です。信託報酬は、販売会社・受託会社・運用会社3 社で配分して受け取ることになっていて、その比率は、目論見書に記載されています。運用にかかる費用、運用報告書の作成費や発送費、資産の保管のための費用などが含まれます。

 

■信託財産留保額

信託期間の途中で、投資信託を換金した場合に徴収される費用のこと。投資信託を売って現金に換えるとき、自分は換金をして投資をやめていくわけですが、その投資信託には年間でかかるものなど引き続き必要なコストがあります。

 

ですので、換金する人が支払うこの信託財産留保額でそのコストを埋め合わせするわけです。これを支払わないとそれらのコストは残存する受益者(投資信託を引き続き持っている人たち)が負担することになります。不公平が生じないように回避目的として徴収されます。ただ、こちらも最近は、無料の投資信託が増えています。

 

その他、上記以外の費用が掛かることがあります。

 

■その他の費用

その他の費用には、監査費用や売買委託手数料が含まれます。投資信託の資産全体若しくは一部にかかる費用のため、自身が持っている投資信託1本にかかる費用額が分かりにくいのですが、かかった費用全体をその時点での口数で割って、おおよそその期ではどのくらいのパーセンテージだったかは、実績として割り出せます。

 

監査費用はその投資信託の純資産の大きさに関係なくかかります。売買委託手数料については、頻繁に組入れ資産の入れ替えを行う投資信託の場合、株や債券の売買高も大きく、そのコストはかさみます。運用報告書に、その他経費の支払い実績が掲載されていますし、投資信託の金融情報サイト大手のモーニングスターのウェブサイトで確認できるものもあります。パンフレットや目論見書には、基本的な3つのコストは必ず明示されているので、買う前に確認してみてください。

 

 

この3つに、その他の費用が含まれた費用全体が、コスト(経費)となります。