投資には必ずリスクがともないます。それを抑えることが分散投資の目的です。資産の分散であれば、同じ要因に対して値動きが連動するものに偏らないことで、大きな市場の変動で資産を大きく減らすことを避けることができます。独立系FPが著書『ていねい図解!初心者のための投資信託教本』(日本橋出版)で資産分散とポートフォリオをわかりやすく解説をします。
投資初心者も「ポートフォリオ」を考える必要はありますか?【FPが解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

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資産配分とポートフォリオの重要性

複数本の商品を選ぶ際に資産配分を検討するという作業が、初期の段階で最も重要です。ここを面倒くさがらずにしっかり行ってから、ポートフォリオを組むという段階に入っていくのが、自分が目指す資産運用結果へつながる道です。その作業次第で、その後の結果に大きな影響が及びます。それぞれの言葉の意味から、ゆっくり説明していきます。

 

(1)資産配分とは何ですか

 

英語では、資産配分のことを、アセット・アロケーション(AssetAllocation)と言います。アセット(資産)をアロケーション(配分)するという複合語です。つまり、自分が持っている資産を、様々なカテゴリーに配分するという意味です。

 

ウィキペディアに、「アセット・アロケーション(資産配分)とは、投資家のリスク許容度、目標、時間軸に応じて、ポートフォリオ内の各資産の割合を調整することにより、リスクとリターンのバランスを取ろうとする投資戦略である」との記載があります(wikipedia 2020年5月末現在)。

 

つまり、自分が持っている資産を同じ資産クラスに偏らせずに、異なる資産クラスに配分するということです。多くの金融専門家は、アセット・アロケーション(資産配分)が、運用資産全体の収益を決定する重要な要素と主張しています。本連載では、資産配分と表していきます。

 

(2)資産クラスとは何だろう

 

資産クラスとは、投資対象になる資産の種類や分類のことを言います。アセットクラスと言われることもありますが、本書の中では資産クラスと表現します。後ほど紹介する、ウェブサイトのモーニングスターで使われている言葉です。

 

資産クラスには、大項目として、以下の種類があります。

 

(1)株式
(2)債券
(3)現金および現金同等物
(4)商品(コモディティ)
(5)商業用又は居住用不動産(REIT含む)
(6)収集物
(7)外貨通貨
(8)未公開株など

 

各市場別に取引されている金融商品と言えば分かりやすいかもしれませんが、株式市場では株式、外為市場では通貨、債券市場では債券(国債、社債)、商品市場では商品(コモディティ:金・銀・原油・大豆など)があります。それぞれの資産クラス内では、同じようなリターンやリスク特性を持つことが多いです。

 

更に、資産クラスのそれぞれの大項目の中にも、別の視点での異なる特性の資産が含まれているので、中分類や、小分類も存在します。例えば、株式のグループでは、国内株、国際株(先進国株、新興国株)に分けて、資産クラスを形成していたりします。

 

国内株は、更に細かく、大型、中型、小型、超小型など、投資する会社の大きさによって、分けられていたりもします。国際株は、まずは大まかに、先進国株と新興国株と分けられますが、更に細かく地域や国ごとの地域分散もあります。因みに、国際株全体のことは、グローバルと呼んだり、新興国のことは、エマージングと呼んだりします。

 

債券も同様に、国内債券、国際( 外国) 債券( 先進国債券、新興国債券)というように分けて、資産クラスを形成していることが多いです。

 

 

 

(3)ポートフォリオとは、どういうことですか

 

ポートフォリオ(Portfolio)は、日本語でも使われている言葉です。元々日本語には存在せず訳すのに適さない言葉は、そのままカタカナ表記するということだと思いますが、カタカナなので、投資経験が浅い方たちにとってはよけい分かりにくいかもしれません。金融用語としては、現金・預金・株式・債券・不動産など、投資家が保有している金融商品や、その組み合わせの具体的な内容を指しています。

 

資産配分は、資産の種類や分類で大まかにグルーピングされた資産クラスに、どのくらいの割合で資産を配分するかということでしたが、実際、じゃあ、上記にあげたような資産クラスの中で、それぞれどの金融商品をいくらずつ持っているのかというのが、このポートフォリオになります。例えば、〇〇という株をいくら持ち、△△という投資信託をいくら持ち、□□という金商品をいくら持っているかということです。

 

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