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「1/11~1/16のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・昨年の2回の米ドル高加速局面に共通したのは、保合い放れといったテクニカルな要因と、そして「道先案内役」の米金利の一段の上昇だった。
・「保合い放れ」では目先的に116円半ばが分岐点になりそう。後者の「道先案内役」の米金利の一段の上昇では、米金利は短期的な「上がり過ぎ」懸念の強い状況が続いている。
米ドル高・円安は、このまま一段と広がっていくのか
米ドル高・円安が、このまま一段と広がっていくのか。本記事では、昨年1月から米ドル高・円安トレンドが大きく加速した昨年1~3月、同10~11月の2回の局面について検証します(図表1参照)。
上記の2回に共通しているのは、保合い放れといったテクニカルな要因でした。
保合い放れは、別ないい方をすると長く続いた小動きが終わり、一方向に大きく動き出したということになります。上述の2回のうちの後者は、実勢相場の動きからも同意しやすいといえるでしょう。7~9月にかけて、主に夏休みの期間を中心に108~110円中心で続いた小動きが終わったところから、米ドル一段高に向かったのです。ただ前者は、実勢相場で米ドル安の流れが長く続いたところから、米ドル高に転換した動きのように見えます。
これについて、90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、大きく印象が変わるかもしれません。米ドル一段高が始まるまでは、上述の2回とも同かい離率が2%といった狭いレンジ中心での小動きが続いていました(図表2参照)。
こんなふうに、90日MAからのかい離率で見ると、昨年の2回の米ドル一段高は、長く続いた小動きのなかで、蓄積されたエネルギーの発散によりもたらされた可能性があります。
さて、昨年10月以降米ドル一段高となり、その後も米ドル高傾向が続いてきましたが、これを90日MAからのかい離率で見ると、基本的には1~3%中心のレンジ内にとどまってきました(図表3参照)。
これまで見てきた米ドル高加速のパターンを参考にすると、ここからさらに米ドル高・円安が大きく広がるかは、90日MAかい離率の保合い上放れ、具体的には、90日MAが足元で113円程度なので、それを3%上回った水準である116.4円、大まかに言えば116円半ばを超えられるかがひとつの目安になるのではないでしょうか。
2回の米ドル高加速局面に共通した「もう一つの要因」
ところで、昨年の2回の米ドル高加速局面に共通したもうひとつの要因は、米金利上昇による米ドル高加速の正当化でした。前者は、米10年債利回りといった長期金利、そして後者は米2年債利回りといった具合に、必ずしも同じ米金利ではありませんでした(図表4、5参照)。前者における米長期金利上昇は、いわゆる「コロナ・ショック」後の景気回復を受けた動きだったといえます。
そして、そんな景気回復を受けた金融緩和策の転換に反応したのが、後者の米中期金利上昇でした。以上を踏まえると、目先的には引き続き米金融政策を反映する米2年債利回り上昇が、どこまで米ドル高加速を正当化できるかが焦点ということになります。
そんな米2年債利回りについて、90日MAからのかい離率は、最近でもプラス80%前後といった極めて高い水準での推移が続いています(図表6参照)。経験的には、これは短期的な「上がり過ぎ」懸念が強いことを示しています。
米インフレ懸念が拡大し、対策として米利上げを3月にも行うといった見方も強まるなかで、それを織り込む米2年債利回りも「上がり過ぎ」が長引くところとなっているのでしょう。
以上から考えると、「上がり過ぎ」の米2年債利回りのさらなる上昇には、基本的には限界がありそうです。そんな米2年債利回りなど米金利が「道先案内役」を果たせるかが、米ドル一段高のカギを握っているといえるでしょう。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
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