資産の65%を失う大暴落「とりあえず二度寝した」
■2020年9月の大暴落
何事もそうでしょうが、新しい挑戦にはトラブルが付きものです。新しい取引所は最初に使っていた取引所とシステムやルールが似ていたので、かつて使っていたbotを改良して使おうと思っていたのですが、再起動したら大切な分足のデータが消失してしまいました。ある程度データがないと機械学習で精度が出ませんし、シグナルも出ません。
当面、自前で蓄積が必要なストラテジーは作れないことが確定してしまいました。とりあえず、取引所から取ってこれるデータだけでストラテジーを構築して稼働させていたのですが、9月3日に新しい取引所に入れていた資産の65%を失う〝大暴落〟に巻き込まれました。
朝、目が覚めていつも通りスマホを手に取って資産状況を確認しました。そこで目にした数字があまりに強烈だったので、私はそのままスマホを伏せて二度寝しました。
今見た数字は夢だった、ということにしたかったのです。もちろん、二度目の目覚めでも資産は減ったままでした。
原因は米国株式市場の急落でした。新型コロナウイルスが猛威を振るっているにもかかわらず、株式市場は過去最高値を更新する強気相場が続いていました。
ところが8月分のISM非製造業景況感指数が事前予想をわずかに下回ったのをきっかけに利益確定の売りが出て、ダウは前日比2.78%、S&P500は同3.51%、ナスダックは同4.96%下落したのです。
その余波が仮想通貨市場にも来たのですが、もともとハイリスクな仮想通貨の下落は、株式市場よりもさらに大きく長く続きます。ビットコインは一時前日比6.9%(終値で5.4%)も急落し、8月初め以来の大幅安になりました。
新しい取引所で数段階目の試験運用をしていたストラテジーは、強制的にポジションを精算されてしまう〝ゼロカット〟こそ免れたものの、相当な痛手を負いました。しかし、生活資金を稼ぎ出す口座は無事でした。取引所と戦略が分かれていたことで、図らずもリスク分散ができました。
暴騰・暴落に「備えるか」「ゼロカットの腹を括るか」
仮想通貨はときどき大暴騰・大暴落に見舞われて、その度に破産したり退場を余儀なくされる被害者が出ます。もちろんbotであれば〝異次元の値動きがくる可能性〟を想定した設計にしておくことも可能なのですが、1年に一度あるかないかのレアな値動きに備えた設計にすると、通常の相場でのパフォーマンスが大幅に低下します。
であれば、これは資金管理で対処するしかありません。極端な話、1つの取引所に入れておく資金を半分にしておけば、そこで〝ゼロカット〟を喰らっても資産全体では50%の減少で済みます。大暴騰・大暴落での大損失は受け入れた上で、botにはリスクいっぱいの勝負をさせた方が結果的に資産が早く増えていくという結論に達しました。
そうした紆余曲折と試行錯誤を経て、10月に新しい取引所の戦略が完成しました。これは非常によく稼いでくれ、完成から1カ月後、私はついに月次1000万円の〝S級botter〟になることができました。「BBbot」と名付けたbotは、現在(2021年8月現在)でも主力として、毎月数千万円を稼ぎ続けています。
richmanbtc(リッチマンビーティーシー)