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「3億円凍結事件」始まりは一通のメールだった
■運用中の口座が突然に凍結――1日目
ある日、リスク分散のために使っていた取引所の1つで、突然3億円以上の資金が凍結されてしまうという〝事件〟が起こりました。
それは本当に突然に、何の前触れもなくやってきました。正確に言うとそれが直接の原因かはわからないものの〝前触れ〟はありました。ですが、私はそれを見逃していたのです。
2021年3月某日、その取引所から別の取引所にビットコインを送金しようとしたところ、送金制限がかかっていました。「おや?」と思って調べてみると、ビットコインだけでなくあらゆる仮想通貨と日本円に出金制限がかかっています。最初はシステム上の不具合か何かだと思って、Twitterで調べてみたのですが、そのような現象に遭遇している人はいませんでした。
これが世に言う「口座凍結」なるものであることを知ったのは後のことです。
すぐにサポートデスクに問い合わせをしました。しばらく待たされた後に対応に出たオペレーターは、「ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。調べましたところ、2カ月ほど前に弊社からお問合せのメールを送らせていただいたのですが、そちらに御回答をいただけていないようです。そのため、このような措置を取らせていただきました」と言いました。
問い合わせのメール? 自分では覚えがないのですが、何月何日何時に送ったメールで何を問い合わせたのかを聞いても、オペレーターは教えてくれません。「お教えできない決まりになっている」の一点張りでした。
これは仮想通貨の取引所に限りませんが、銀行でも証券会社でも、金融機関というのはやたらとメールを送ってきます。
•〇月〇日現在の資産状況について
•定期的にパスワードを変更してください
•連休中の稼働状況について
•システムメンテナンスのお知らせ
•弊社を騙った詐欺メールにご注意ください
……等々。こう言っては何ですが、ほとんどのメールは大した用事ではありません。日常的に本サイトにログインして使っていれば、基本的に問題は生じないはずです。本当に重要で何かやらなければならないメッセージであれば、本サイトにログインした時に目立つように表示されます。
なので、すっかり油断していたのですが、確かに当該の取引所から「お問合せメール」は来ていました。内容は「資産額や取引目的などについてお答えください」というものでした。