2022年のユーロ圏経済見通し (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●実質GDP成長率は21年が前年比で+5.3%、22年は同+4.4%、23年は同+2.3%を予想。

●物価は2022年後半には落ち着く見通し、賃金の伸びも限定的なら利上げ開始は2023年末か。

●財政は拡張方針で、ドイツ10年国債利回りは緩やかに上昇へ、フランスとイタリアの政局にも注意。

実質GDP成長率は21年が前年比で+5.3%、22年は同+4.4%、23年は同+2.3%を予想

ユーロ圏の景気は足元で回復傾向にあります。2021年7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率で9.1%と、2期連続でプラス成長となりました。ただ、10月以降は、供給制約やエネルギー価格の上昇などを背景に、回復ペースはやや減速していると推測されます。しかしながら、企業の景況感は製造業、サービス業ともに堅調で、ユーロ圏経済は2021年10-12月期にコロナ前の水準を回復する見通しです。

 

製造業では、引き続き供給制約が輸出や生産の重しになると思われますが、2022年半ばにかけて供給制約が徐々に解消され、輸出や生産は再び勢いを取り戻すとみています。一方、サービス業は、冬場のコロナの感染拡大により、一時的な減速が見込まれるものの、ワクチン接種の進展で下振れは回避可能と考えています。実質GDP成長率は、2021年が前年比+5.3%、2022年は同+4.4%、2023年は同+2.3%を想定しています(図表1)。

 

(注)2021年12月15日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。 (出所)EU統計局のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]ユーロ圏の実質GDP成長率予想 (注)2021年12月15日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。
(出所)EU統計局のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

物価は2022年後半には落ち着く見通し、賃金の伸びも限定的なら利上げ開始は2023年末か

消費者物価指数(CPI)は、エネルギー価格の上昇などを背景に、高い伸びが続いています。年明け以降も供給制約の影響から、物価はしばらく高止まりが予想されますが、次第に伸びが鈍化し、2022年後半には、かなり落ち着いた状態になっていると思われます。ユーロ圏のCPIについては、2021年が前年比+2.6%、2022年は同+2.6%、2023年は同+1.8%を予想しています。

 

次に、金融政策について、CPIの上昇率が2022年後半には鈍化し、賃金の上昇率も限定的であることを前提とした場合、ユーロ圏の量的緩和制度である資産購入プログラム(APP)は、最終的に2023年前半まで延長され、利上げの開始時期は2023年末になると予想しています。ただし、賃金が大幅に上昇した場合、APPは2022年末で終了し、利上げの開始時期は2023年前半へ前倒しになることも想定されます。

財政は拡張方針で、ドイツ10年国債利回りは緩やかに上昇へ、フランスとイタリアの政局にも注意

前述の通り、賃金の大幅な上昇が確認されない限り、欧州中央銀行(ECB)が急速にタカ派へ転じる可能性は低く、長期金利の大幅な上昇には至りにくいと考えています。ただ、コロナ危機で導入した緊急買い取り制度(PEPP)が2022年3月末で打ち切られるなど、長期金利の上昇圧力となる要因もあることから、2022年12月末におけるドイツ10年国債利回りは、現時点で0.1%を予想しています(図表2)。

 

(注)データは2016年1月から2021年11月。2021年12月17日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。太線は予想レンジの上限と下限。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ドイツ10年国債利回りの予想レンジ (注)データは2016年1月から2021年11月。2021年12月17日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。太線は予想レンジの上限と下限。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

ユーロ圏の財政政策については、この先、コロナ禍の支援措置の段階的な縮小が見込まれますが、拡張的な財政スタンス自体は2023年まで続くと予想しています。また、2022年、2023年とも、欧州連合(EU)復興基金による投資拡大も見込まれます。なお、政局リスクとしては、イタリア総選挙の前倒し(2023年から2022年へ)や、フランス大統領選(2022年4月)における予想外のマクロン大統領の敗北、が挙げられます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年のユーロ圏経済見通し』を参照)。

 

(2021年12月27日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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