入居者が「孤独死」…オーナーの対応は?
もし所有する賃貸物件で孤独死が発生してしまったら、オーナーはどう対処すればよいのでしょう?
第一発見者となってしまったら、生存の可能性があれば救急車の手配を、亡くなっていることが明らかであれば警察への通報を行います。死亡が確認されたら、賃貸借契約時に聴取しておいた緊急連絡先や連帯保証人へ連絡を取ります。
1棟アパート・マンションの場合
基本的に区分マンションと対応は同様です。ただし、区分マンションであれば1戸のリスクに留まりますが、1棟物件は戸数が多い分リスクが高くなります。なぜなら、1棟物件における1室のみの孤独死であっても、その事実を知った他の賃借人が嫌悪を感じ続々と退去してしまう可能性があるからです。そして、その後の入居者募集も困難を極めます。
区分マンションの場合
亡くなってすぐに発見されれば良いのですが、夏場は数日で遺体の状態が悪化してしまうと、その後の原状回復作業にも大きく影響します。法的には賃借人の死亡後も賃貸借契約は継続されるため、室内に残された家財道具をオーナーが勝手に処分することはできません。
そこで、亡くなった賃借人の親族と契約解除や今後の費用分担などについて話し合うことになります。話し合いが決着すれば原状回復費用は親族負担となりますが、賃借人に身寄りがない場合は全額オーナー負担になってしまう可能性もあります。
孤独死対策の注意点
賃貸住宅内で死亡事故が発生した場合、これまではオーナーや管理会社の任意判断で心理的瑕疵のある「事故物件」であることの告知が行われてきましたが、事件・事故性のない死亡まで告知するルールにしてしまうと、多くのオーナーが高齢者の新規入居を避けるようになってしまいます。
そこで国土交通省は「自殺・殺人、または死亡の発見が遅れたため特殊清掃を行わざるを得なくなった場合を除き、病死・自然死の告知義務は行わないで良い」というガイドラインを策定しました。加えて、マンションなど共同住宅の共用部で起きた事件・事故による死亡事故についても、発生から3年間が経過すれば告知の義務はないとしています。
発生後の対応を知ることで、冷静な行動が可能に
入居者による騒音、火災、そして孤独死のトラブルは、オーナーが未然に防ぐことが難しいトラブルです。しかし発生後の対応を熟知していれば、焦らず、冷静に行動することができます。
改めて火災保険の契約内容を確認したり、定期的に賃貸物件の居住状況を確認に出かけるだけでも、万一の事態に備える体制は固められます。
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