日本沈没【ストラテジーレポート】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2021年12月10日に公開したレポートを転載したものです。

[本記事のポイント]

・グローバル株式市場で日本株のウエイトが地盤沈下し続けている

・スタートアップ育成にはまず受け皿=市場の育成を

・市場を重視しない政権のもとでは相場の活気が失われるのも当然か

グローバル株式市場で「日本沈没」が始まっている

TBSテレビ日曜劇場『日本沈没』が12月12日に最終回を迎えた。このところ地震や火山の噴火が相次いでおり、ドラマが現実のものとなるような不安を覚える。我々が暮らす日本は世界有数の地震国・火山国であり、いつ天災に見舞われても不思議ではないことを改めて認識しておこう。

 

もちろん、テレビの『日本沈没』はフィクションだが、株式市場では「日本沈没」というような状況が既に始まっている。グローバル株式市場で日本株のウエイトが地盤沈下し続けている。

 

5月と11月の年2回行われるMSCIの銘柄入れ替え(セミ・アニュアル・インデックス・レビュー)。1年前の11月は差し引き16銘柄の除外、今年5月は29銘柄の除外に続いて先月末は差し引き13銘柄の除外となった。これで3回連続の2桁除外だ。2桁除外となるのは東日本大震災直後の11年5月以来のことである。

 

2桁除外の波 日本銘柄の差し引き増減数
2桁除外の波
日本銘柄の差し引き増減数

出所:Bloomberg

 

MSCIは機関投資家のグローバル株式ベンチマーク。その中に占める日本株のウエイトがどんどん小さくなる。銘柄数も減るし、株価パフォーマンスも他の市場の銘柄に劣後するのだから、日本株のエクスポージャーは減る一方だ。ベンチマーク・ウエイトが小さければパッシブ運用は当然としてアクティブ運用の資金も流入しない。

 

東京証券取引所が9日発表した前週(11月29日~12月3日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)によると海外投資家は4週連続で売り越した。

 

どうしたら海外の投資家を呼び戻せるか。まず日本企業自身の魅力度を高めることは言うまでもないが、せめて政治にも協力してほしいところだが期待薄だろう。そもそも市場を大事にしよう、育てようという発想がまるでない。岸田首相は先日の所信表明演説でこう述べた。

 

人類が生み出した資本主義は、効率性や、起業家精神、活力を生み、長きにわたり、世界経済の繁栄をもたらしてきました。

 

しかし、1980年代以降、世界の主流となった、市場や競争に任せれば、全てがうまくいく、という新自由主義的な考えは、世界経済の成長の原動力となった半面、多くの弊害も生みました。市場に依存し過ぎたことで、格差や貧困が拡大し、また、自然に負荷をかけ過ぎたことで、気候変動問題が深刻化しました。

 

これ以上問題を放置することはできない。米国の「ビルド・バック・ベター」、欧州の「次世代EU」など、世界では、弊害を是正しながら、さらに力強く成長するための、新たな資本主義モデルの模索が始まっています。

 

おおいなる誤解である。確かに米英といったアングロサクソン国家では、行き過ぎた資本主義、行き過ぎた株主至上主義が格差を生み、弊害を生んできた。

 

しかし、我が国ではそんな状況には至っていない。むしろ株主軽視の時代が長く続き、新自由主義的なドライブ感やダイナミズム、新陳代謝のシステムがないまま、淀んだ経済が続いてきた。その反映がまったく上がらない賃金である。新自由主義的な規制の撤廃で経済の新陳代謝を促すことなく、「分配」という名のバラマキや補助金では強い経済はいつまでたっても築けない。

 

マネックス証券株式会社 チーフ・ストラテジスト

上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済学研究科後期博士課程修了。博士(経済学)。マーケットに携わって30年超、うちバイサイドの経験が20年。国内銀行系投資顧
問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。
2010年より現職。青山学院大学大学院・国際マネジメント研究科(MBA)非常勤講師。
テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、BSテレビ東京「日経プラス9」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。

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著者紹介

連載【広木隆・チーフストラテジスト】ストラテジーレポート/マネックス証券株式会社

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