節税の代名詞だった「法人保険」…駆け込み加入した経営者が、2022年に直面する「大問題」

節税の代名詞だった「法人保険」…駆け込み加入した経営者が、2022年に直面する「大問題」
(※写真はイメージです/PIXTA)

海外不動産節税の封じ込め、相続税・贈与税一本化への動き…毎年大きく揺れ動く、「富裕層の税金対策」。株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役、一般社団法人相続終活専門協会理事の江幡吉昭氏は、2019年に「NO」を突き付けられた法人保険節税について、2022年に起こる大問題を指摘しています。

「出口を考えている人」「なんか入っちゃった人」の差

保険を解約したら解約返戻金は利益である「益金」として法人税が課税されてしまいます。生命保険は「課税の繰り延べでしかない」と言われるゆえんです。

 

ですので2019年当時この手の保険に入られた方は、2022年以降、まとまった損金を作る努力をするわけです。2019年当時、3-5ヵ年の経営計画を立てている経営者は、

 

 

・社長自身が2022年以降退職し、解約返戻金を退職金として受け取ったり、

 

・地主系の経営者の方は、生命保険の解約返戻金を地主さん自身が保有する法人の所有物件の大規模修繕に使ったり、

 

・ダンプカーや高所作業車などの特殊車両を複数保有されている社長は「新しい特殊車両の入れ替えに使おう」と計画的に準備されたりしています。

 

しかしそうでなく、「なんかよさそうな保険がなくなるなら入っておけ」的な動機で2019年に駆け込み加入をした経営者の場合、2022年以降、この保険の解約をめぐり「今解約しないと解約返戻率のピークが過ぎ、受け取るお金がどんどん少なくなってしまう」けれども「今解約すると多額の法人税が課税されてしまう」という事態に頭を悩ませることになります。これが掲題の法人保険の2022年問題です。

 

バレンタインショック前であれば、「保険の解約返戻金は、保険に新たに加入することで益金と損金を相殺する」ことができました。しかし今は、この手の商品は基本的に骨抜きにされましたので、「2019年の法人生命保険を解約して2022年新たに別の生命保険に入りなおしても」、さほど効果はありません。結局、解約返戻金に対して多額の法人税を払うことになってしまいます。

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2021年12月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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