社長が「最低限プランニングしておくべき」退職金
コロナを機に社長が引退し代替わりするケースが増えてきていると思います。「いつまでも自分が社長として引っ張るのが一番だと思ったけど、コロナを機に考え直したよ」、そんなことを経営者から最近よく聞きます。
思い返せばリーマンショックのときも事業承継するアテがある場合、同じように代替わりすることが多くありました。困難の時代になると経営者も少し弱気になるのかもしれません。
いざ現社長である経営者が引退することになったとき、後任に目途がつくと、社長からご自分の退職後の資産の中長期計画の策定についてご相談を受けることが多々あります。会社も中長期経営計画を策定することが多いですし、社長個人の資産の中長期計画を作っていこうと考えるのも当然でしょう。
個人的には社長個人の資産のバランスシートや中長期計画も、もちろん「作るのに越したことはない」とは思いますが、そこまでの手間を考えるのであれば、せめてご自身の退職金については事前に最低限考えておいて欲しいと思っています。
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その理由は、退職金は社長にとって非常にメリットが高いからです。自分の事に関する優先順位が低い社長としても「これだけはプランニングしてほしい」個人のお金に関する最重要テーマではないでしょうか。というのも、退職金はメリットばかりなのです。
メリットの1つ目は税金が安いというものです。退職所得は10ある所得区分の中で最も税金が安い所得区分の1つです。
退職所得=【 (退職金ー退職所得控除※A)÷2※B×税率※C 】
※A:退職所得から引いてくれる!
※B:所得が半分になってしまう!
※C:分離課税なので他の所得と一緒にされない!
とその効果の大きさが分かると思います。
そして2つ目は、退職金は社会保険料の対象外だということです。
具体的に数字でみていきましょう。
年間5000万円の役員報酬の場合、税金と社会保険料を控除されると手取りが約2700万円弱となります(勤続35年、4人家族、給与所得他収入なし等。扶養や年齢によって若干の違いはあります)。
一方で退職金として同じ5000万円を受け取ると手取りは約4500万弱となります。2000万円近く手取り額に差がつくのです。
もちろん役員報酬は毎年もらえるモノ、退職金は1回きりのモノ。ということで役員報酬が高い方がいいじゃないかという経営者も多いと思いますが、「退職金の威力の大きさ」も同時にわかると思います。
ですので、社長はせめて自身の退職金くらいはきちんと考えるべきと思うのです。