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前年対比で2倍以上…追徴税額は大幅増加
国税庁は令和2事務年度に法人税・消費税の調査等において、実地調査※1を2万5,000件、簡易な接触による自発的な申請内容の見直し要請※2を6万8,000件行いました。
※1 高額・悪質な不正計算をしていると見込まれるものを詳しく調べること
※2 税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請すること
その結果、実地調査による申告漏れ金額は計5,286億円で追徴税額が計1,936億円、簡易な接触事績による申告漏れ金額は計76億円で追徴税額が計62億円となりました。
新型コロナウイルスの影響によって、調査件数は大きく数を減らしましたが、前年と比べた調査1件当たりの追徴税額は実地調査が249%、簡易な接触事績が228.7%と大幅に増加しています。
法人による申告漏れを防ぐための国税庁の主な取組
また、国税庁は申告漏れを防ぐため、特に力を入れている調査項目として下記の2つをあげています。
■国税庁が力を入れている調査項目
1.消費税還付申告法人に対する取組
2.海外取引法人等に対する取組(法人税)
出所:令和2事務年度 法人税等の調査事績の概要より
それぞれについて、主な取り組みを見ていきましょう。
1.消費税還付申告法人に対する取組
国税庁は「消費税の不正還付は国庫金の搾取」ともいえる悪質性が高い行為として、法人から提出された消費税還付申告書は、申告内容に応じて還付金の支払手続を保留し、行政指導や実地調査などの厳正な審査を行っています。
その結果、消費税還付申告法人に対して総額219億円(うち不正還付34億円)を追徴しました。
2.海外取引法人等に対する取組(法人税)
輸出入取引や海外投資を行っている法人は増加しており、海外取引にかかる申告漏れ所得は総額で1,530億円にもなりました。
国税庁はペーパーカンパニーを活用した申告逃れを防ぐために、租税条約などに基づいた情報交換要請を行うことで、厳正な調査を実施しています。
法人税の申告…不正発見割合1位、2位は50%超
同調査で公表された『不正発見割合※の高い10業種(法人税)』によると、上位10業種に大きな変化が見られました。令和2事務年度の上位10業種は下記のようになっています。
※ 実地調査で発覚した法律違反の申請のなかで、仮装・隠ぺいなどによる不正計算を行っていた申請の割合のこと
■令和2事務年度 不正発見割合の高い10業種(法人税)
1位 バー・クラブ…53.7%/2,385万円
2位 外国料理…52.0%/1,432万円
3位 美容…37.5%/1,565万円
4位 医療保健…36.7%/1,146万円
5位 生鮮魚介そう卸売…36.2%/3,592万円
6位 一般土木建築工事…36.0%/1,828万円
7位 職別土木建築工事…36.0%/1,828万円
8位 中古品・小売…33.3%/1,150万円
9位 医療関連サービス…33.3%/3,320万円
10位 土木工事…33.2%/1,393万円
※数値左:不正発見割合、数値右:不正1件当たりの不正所得金額
出所:令和2事務年度 法人税等の調査事績の概要より
富裕層の申告漏れ金額に見られる傾向と同様に、海外投資や海外取引を活用することによる申告漏れ金額が増加しています。
税金逃れの手段は複雑化していますが、きちんと納税している人との公平性を保つためにも、厳正な調査を実施が求められています。
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