(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

原油価格の上昇がインフレを押し上げ

■米国を中心にインフレが加速しています。米連邦準備制度理事会(FRB)が物価目標の指標にしている個人消費支出(PCE)価格指数は10月に前年比+5.0%と、およそ30年ぶりの伸びとなりました。


■インフレが加速している要因はさまざまですが、原油価格の上昇も大きな理由です。米国のPCE価格指数のうちエネルギーの割合は約4%ですが、原油高を受けてエネルギー価格は前年比+30%となっているため、これだけでPCE価格指数を約1.2%ポイント押し上げています。

 

(注)データは2020年1月~2021年10月。 (出所)米商務省のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]米PCE価格指数の内訳 (注)データは2020年1月~2021年10月。
(出所)米商務省のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

中長期のインフレに及ぼす影響は大きくない

■ただ、原油高が中長期のインフレに及ぼす影響は大きくないと言えます。弊社では、原油価格の10%の上昇が1年後の物価に及ぼす影響は+0.1%ポイント程度、エネルギーと食品を除いたコア物価に及ぼす影響は+0.1%ポイントに満たないと試算しています。


■図表2の通り、FRBの試算でも概ね同様の結果が出ています。

 

(注)原油価格の10%の上昇がコアPCE価格指数に及ぼす影響。 FRBによる試算。 (出所)FRBのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]原油価格上昇が米コア物価に及ぼす影響 (注)原油価格の10%の上昇がコアPCE価格指数に及ぼす影響。FRBによる試算。
(出所)FRBのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

オミクロン型の動きに注目へ

■ただし、今回のインフレは原油価格の上昇以外にも、経済再開による需要超過、人手や半導体の不足、物流の停滞など、さまざまな要因が重なって発生しています。そのため、原油価格が落ち着いてもインフレが予想以上に長引く可能性は残ります。


■特に、直近では新型コロナウイルスのオミクロン型によって各国で渡航制限が強化されています。この動きが港湾業務などにも広まると、物流をさらに阻害し物価を一段と押し上げる要因となるため、今後の動向に注目する必要があります。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油高が米国のインフレに与える影響』を参照)。

 

(2021年12月2日)

 

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2021年11月30日 「オミクロン」と米国株式市場

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