中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。本記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。今回は、相性の悪い上司や同僚とどのように向き合っていくべきか、見ていきます。
相性の悪すぎる同僚を「試しに陰でほめてみた。」…予想外の結果に (※画像はイメージです/PIXTA)

上司を陰でほめる際、課題となる2つのこと

相性の悪い上司を「陰でほめる」ことは簡単ではありません。課題はふたつあります。

 

ひとつ目は、「どこをほめるべきか」です。先ほどの実例のような「ピンポイント」が見つかれば、苦労はしません。強引に見つけたとしても、相性が悪いのですから、どこか取ってつけたようで、見え見えとなってしまいます。そこで参考になるのが、心理学者である渋谷昌三氏が提案する、「曖昧ぼめ」です。

 

「『人間は完結してしまった効果よりは、未完了、未解決のことのほうに強く心を惹かれる』これは、《ゼイガルニク効果》という人間心理の特徴です。わかりやすくいえば、『必ずしも結論を説明しなくてもいい』ということです。

 

『結論はいわずに、もっと曖昧な表現のほうが、相手の心を惹きつける』のです。つまり、『思わせぶり』のままで十分、というわけです。〈中略〉『具体的に何か指摘してほめなければならない』という考えを捨て、もっと曖昧な表現でほめる方法をおすすめします。

 

たとえば、『あなたっていいなあ』といったほめ方です。相手が『私のどんなとこがいいの』と聞いてきたら、『いや、なんとなく。あなたと一緒にいると、なんとなくいいなあ』と。そのほうが相手の心を引き寄せます。〈中略〉ほめ方のひとつのテクニックとして、この『曖昧ぼめ』という話し方は覚えておいてください。使い勝手のいい方法です」(『人の2倍ほめる本』渋谷昌著、新講社ワイド新書、26頁、28頁)

 

この方法でしたら、何となくできそうですね。上司のタイプを見極めて、そのタイプが「どことなくいい」とか「何となくいい」という観点から、ほめ言葉を考えてみる価値はあるのではないでしょうか。

 

ふたつ目は、「誰経由でほめるか」ということです。第三者探しは、もっと大変な作業かもしれません。「上司の上司」や「上司の同僚」と、ざっくばらんに話のできる人脈があれば、選択肢のひとつになるでしょう。しかし、実行するには、少しハードルが高いかもしれません。