中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。本記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。今回は、相性の悪い上司とどのように向き合っていくべきか、見ていきましょう。
上司と馬が合わず…入社半年の会社員が「部署異動」を希望した結果 (※画像はイメージです/PIXTA)

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上司と合わずに転勤半年で「部署移動」を希望した結果

過去に、転勤先の上司とまったく合わず、半年足らずで、更に上の責任者に直訴したことがあります。責任者は、少し驚いたようでしたが(当時、そんなことを言い出す「わがまま?」な社員はあまりいなかったようです)、希望通りに部署異動が実現しました。その瞬間は、「めでたし、めでたし!」です。

 

何といっても、生き地獄のような環境(あくまでも当時の感想です)から脱出できたのですから。とは言うものの、結構生意気なことも主張していましたし、もっと時間をかけて対応したほうがいいこともありました。

 

まだまだ未熟だったと言えば、それまでかもしれません。しかし、当時の私に冷静に対処する余裕はなく、心機一転、「新しい上司のもとで頑張ろう」と意気込んでいました。

気まずい雰囲気のなか、致し方なく我慢する日々…

ところが、です。しばらくすると、「あいつは自分の都合が悪くなると平気で上に言いつける、危ないやつだ」的なレッテルを貼られてしまいます。

 

気づくと、新しい部署でも、気まずい雰囲気の中で、仕事をすることになっていました。一度使った飛び道具は、同じところでは二度と使えません。

 

後はただ、「機が熟すのを待つ」だけです。「無言の威圧感」を肌に感じながらの日々でしたが、他になす術もなく、しばしの我慢を決め込みました。

 

業務内容も、こう言っては失礼になりますが、雑用に近い仕事ばかりがあてがわれて(雑用も大切な仕事なのですが)、やる気は落ちていく一方です。

 

「このままずっと、ここにいると決まったわけでもないし、そのうちに、また転機が訪れるはずだ」

 

落ち込む自分に、そう言い聞かせる毎日でした。

 

すると、間もなく人事異動があり、幸運にも他部門へ移ることが決まったのです。ひょっとすると、責任者の意向で、追い出されたのかもしれません。とにもかくにも、ホッとしたひと時ではありました。

 

後日談ですが、当時、相性の悪かった上司たちは皆、数年以内に社内異動で、その部署からいなくなりました。新たに昇格した責任者は、比較的相性の良い方でしたので、異動せず残ったとしても、「結果オーライ」だったということになります。

 

会社が組織で構成されている以上、人事異動は必ずあります。ただ、それがいつあるかは誰にも分かりません。その時を待つしかありません。

 

しかし、「場替え」は間違いなくあります。自分が先か、相性の悪い上司が先か、だけの問題です。組織で仕事をする上で、「人事異動を待つ」という考え方は、そういう意味では、理にかなっているとも言えます。

部下は「上司から言われたこと」だけすればいい

かなり前になりますが、著名な精神科医の話を聞く機会があり、テーマが会社組織の実情に及んだ時です。