企業の人財教育マネージャーとして、コミュニケーション、スキルトレーニングを提供しながら、ビジネスパーソンやパパママ向けのコーチングを通して人の成長をサポートする活動をしているパパコーチゆーき(浅黄祐樹)氏の著書『パパこそ日記をつけなさい』より一部を抜粋しお届けしていく本連載。「忙しい、イライラする」だけの残念パパから脱却するには?
「ついパートナーや子供にイライラしてしまう」…多くの人が悩んでいる「ワケ」と「回避策」 (※写真はイメージです/PIXTA)

イライラが起こる原因

これまで、沢山のパパママとの対話の中で感じたこと。それは、家の中での悩みの多くは、「ネガティブな感情のコントロールの難しさ」でした。

 

ついパートナーや子供に怒ったり、イライラしてしまう。家の中でフラストレーションが全くないというご家庭は、恐らく少数派ではないでしょうか。

 

では、なぜ人はイライラしたり、気分が滅入ってしまうのか。それは、自分の欲求が満たされず、人間の不快感情が発動してしまうからです。

 

例えば、疲れて昼寝をしていたのに、子供が体に乗っかってきて、遊ぼうとせがまれた。こんな時は、ゆっくり休みたい、眠たいという自分の欲求が満たされず、望んでいた結果が失われてしまうことになります。

 

これが不機嫌の火種となります。自分の思い通りにいかず、不快スイッチが作動する。それがイライラという反応を引き起こします。

 

つまり、失われたくない、損したくないという気持ちが、根底にあると言えます。

前提条件を変えれば、反応、感情も変えることが出来る

例えば、家の中で友人家族を呼んで、ランチパーティーをしたシーンをイメージして下さい。

 

友達の子供がスープをこぼしてしまった。そんな時は「大丈夫? 服は汚れていない?」と、優しい声がけになるのではないでしょうか。

 

一方、自分の子供がスープをこぼしたらどうでしょう。「しっかり持ちなさい!」と、少し怒り気味な発言になるかもしれません。

 

同じスープをこぼす状況でも、私達は異なる態度を取ることが往々にしてあります。俗にいう“他人の子には優しく、自分の子には厳しい”という態度の違い。この態度の違いはどこからくるのでしょうか。

 

それは、前提条件の違いによるものです。コーチングでは、前提条件をビリーフ(人の反応、行動の羅針盤)という言葉で説明することがあります。このビリーフは、過去の経験、意思決定、それに対する結果の繰り返しで、作られると言われています。

 

例えば、朝起きて雨が降っている日を想像して下さい。僕は野球部でしたが、練習が嫌いでしたので、雨で中止になることをいつも望んでいました。つまり雨が降るとわくわく楽しいという反応をしてきました。

 

一方、親となった今、雨が降ると憂鬱の反応を示します。洗濯物は乾かない、子供達は体調を崩してしまうかもしれない。このようにネガティブな反応になります。

 

同じ状況でも、環境や前提条件が変われば、心の反応と態度が変わります。逆に前提条件を変えれば、心の反応や態度を変えることが出来るようになります。