弁護士を間に入れなければ、どうにも無理な状況
金融資産をすべて弟が相続するという、弟の希望通りの分割では、財産の相続割合が2対7の割合となってしまいます。前田さんは前田さんで、両親の老後を夫婦だけで見てきたことから、財産を等分に分けること自体が不公平だという思いもあります。
しかし、そうした気持ちを伝えられる状況ではありません。
「弟はもともとわがままな性格なのです。ある程度は仕方ないと思っていたのですが、これほどとは…。私の夫は温厚な人で、ご両親の財産のことはすべて君に任せるよ、といってくれますが、会社勤めしていたころから土日を介護で潰すこともあったのに、本当に申し訳なくて…」
筆者は話をくわしく聞くほど、弟との話し合いは難しいと思われました。そのため、これ以上弟の暴走でストレスを抱えないためにも、弁護士を間に挟んで遺産分割の話し合いを再開することを提案しました。
親族間の関係維持のためにも、話し合いによる解決が第一選択肢ではありますが、このような困難がある場合は、弁護士が間に入ることも必要となってきます。
前田さんも、「やはり、それしかないですね…」と納得し、弁護士相談に切り替えて早期解決を目指すことを決断しました。
どうしても解決困難となる場合には、法律家の力を借り、速やかな解決を目指すことも必要です。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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